僕は美味しいものが大好きだ。和食にイタリアンに、もちろん韓国料理も。美食探訪して見つけ出したお店を後日、人に紹介して喜んでもらえた時は、胃も心も満足する。
ただ、焼肉店だけはそんなに知らない。それは、幼い頃から焼肉は家庭料理という意識が強いためだ。いつも10㌔単位で肉やホルモンを買い込んで、煙りをもうもうとたて近所に火事だと思われたことも。わが家を覗き込んでニオイを楽しむ子どももいたくらい。
肉が焼きあがるまでの待ち時間に、目にいいからとアレをたくさん食べさせられた。薄切りは食べやすく、厚切りは食べ応えがある。食欲をそそるきれいな色で、傍には少し塩を加えたゴマ油とセンマイが寄り添っている。ニラと炒めてスタミナ料理にされたりもするが、何と言ってもレアがいちばんだ。
口に放り込めば、あの絶妙な食感と後味を堪能できる。
急に人気が出てきた新奇な食材ならまだしも、今までごく自然に食されていたアレがある日突然、姿を消すとは何とも後味が悪い話だ。
提供したお店の責任者は2年以下の懲役、または200万円以下の罰金。時を同じくして、カリフォルニアではフォアグラが、アヒルなどを虐待した産物との理由で禁止になった。しょうもないが、どうしようもないキマリになってしまった。
レアが大好きな人に知らせたい。韓国のコプチャンのお店では年中、新鮮なアレがなんと無料で食べ放題なのだ!
レアが親しまれた分だけ、焼肉業界=在日にとって痛手なのは確かだが、韓国の観光客増につながるなんてあり得る? いや、絶対にある。(K)
(2012.7.4 民団新聞)