掲載日 : [2003-09-03] 照会数 : 3890
<コラム・布帳馬車>ハルモニらの笑顔
<コラム・布帳馬車>ハルモニらの笑顔
この夏、何カ所かで民団が取り組んでいる老人福祉活動を見てきた。
冬には雪が積もる琵琶湖の西北、閑静な地域にある湖西支部では、老人会と支部役職員、婦人会が一体となって月に1度、お年寄りを招いて手料理でもてなす。テンジャンをはじめ食卓を賑わす食材のほとんどが自家製だ。韓国人なら誰もが「これこれ!こうでなくっちゃ」という料理が並んだ。これでビールが入るのだから韓国民謡が出ないわけがない。
鳥取市は36度の猛暑だった。広い市内、お年寄りが集まるには無理がある。ならば出かけていって何かお手伝いを、というのが「アジメ奉仕隊」の発想だ。ボランティアのオモニが訪ねると、手を取って喜ぶハルモニ。世間話だけでも、うれしそうに話す。家族じゃない誰かと話したいという思いがひしひしと伝わる。
大阪の西成支部でスタートしたデイサービスで「あらー、あんた生きとったんか!」と悲鳴にも近い声が響いた。近所にいながらも出合う機会が無ければ安否も分からない。気の置けない同胞同士、ウリマルでしゃべりながらキムチやテンジャンチゲが並んだ食事は楽しくないはずがない。
老人福祉に対しては、地域によって様々なアプローチがある。その地域で最善の手法を取り入れればいいことだ。3カ所を回って、脳裏に残るのはハラボジ、ハルモニたちがくったくなく見せる心からの笑顔だ。(L)
(2003.09.03 民団新聞)