掲載日 : [2003-09-18] 照会数 : 3967
<コラム・布帳馬車>SERI・PARK
今夏、公州市郊外にある百済武寧王陵を訪れた。約30年前、劇的に発見されたという古墳群を回り、感慨に浸りながら帰路に向かう際、大通りの向こう側の小さな公園に気付いた。
SERI・PARKは公州から程近い、儒城出身のプロゴルファー、朴セリの記念公園である。と言っても、本人のブロンズ像の他には、経歴と戦績が刻まれた石壁が置かれているだけの場所に過ぎない。
私が釘付けになったのは、モニュメントの設定である。それは裸足で池の中にスタンスを取り、短く握ったクラブで膝の高さの草に止まった球にアドレスしている姿であった。
98年の全米女子オープン最終日は、首位2人によるプレーオフ。その2ホール目、朴選手は第2打を池に落とし、大ピンチを迎える。次打が寄らなければ、ライバルの優位。だがライは悪く、足元も安定しない状況…。刻んで相手の出方を待つ選択肢もある。
それでも躊躇することなく靴を脱いだ彼女が、池から第3打を打つと、放物線を描いた白球はピンの側に転がった。全米プロに続くメジャー連覇。20歳の優勝は同オープン最年少記録。
ゴルフは、見て感動するようなスポーツではなかったが、あの瞬間だけは鳥肌が立ち、一遍にセリ・ファンになった。
公園の壁は4分の3がまだ白紙のまま。当然だろう。偉大なアスリートのキャリアは、これからの方がずっと長いのだから。(S)
(2003.9.17 民団新聞)