◆◇◆韓国の預金、10年放置すれば消失…入出金・満期自動継続で予防
銀行に預けたお金がいつまでもあると思っていませんか? 「久しぶりに韓国に行ってATMでお金を引き出そうとしたらできなかった。通帳を見ると何か印字されている。どうなっているのか?」。よく受ける相談です。
97年外貨危機で多額支援したが
1997年韓国が外貨危機(IMF体制)に陥った時、民団は支援運動を展開し、当時、韓国外換銀行の課長であった私も民団新聞に「本国系銀行のかしこい利用術」を連載しながら、韓国内の高金利預金商品を紹介しました。在日同胞は韓国の外貨不足救済のためだけでなく、高金利での資産運用のため巨額の資金を韓国に投資しました。
当時、私がいた大阪支店だけでも毎日1億円を超える韓国送金がありました。果たして、そのお金は戻ってきたのでしょうか? 10数年経っているのに、「送ったお金よりも戻ってきたお金の方が極端に少ない」と感じています。お金を送った人たちは決して若い人たちではありませんでした。在日の韓国預金が今どうなっているか心配です。
皆さんは、何年かぶりに銀行で出金しようとしたら取引停止になっていたという経験はないですか? 数年間取引のない口座は「休眠預金」として管理され引き出しができなくなるからです。銀行に対する預金の払戻請求権は商法上5年で消滅時効となります。実際には、10年で運用されています。つまり、10年間放置すると、大切に貯金していたはずのお金がなくなってしまうのです。ちょっと怖い話ですね!
このような銀行員にとっての常識が世間一般の預金者にはあまり知られていません。
日本では、2010年のたった1年間だけの休眠預金の金額は約882億円でした。日本の国会で毎年800億円程度の金額が休眠預金にされていると報告されました。これらの預金はいずれ消える運命にあります。
韓国でも、1,満期が来ても5年間、受け取りや更新手続に来ない2,最後の入金・出金の口座の動きから5年以上取引がない3,通知を出しても返送される。このような預金は、03年に設立された休眠預金管理財団(現行、微笑金融中央財団)に銀行から出捐移管されます。定期預金も例外ではありません。
この財団は「休眠預金で庶民を助けよう」をスローガンにして、正規の金融サービスを受けられない低所得者層への融資や、福祉団体や小規模事業者への融資などを行って休眠預金を有効に活用しています。
失効した預金で1兆ウォン超す基金
移管後さらに、5年経過すると、元の預金主の権利はなくなります。韓国では、2008年〜11年末の4年間だけで何と6182億ウォンの預金が移管され、その口座数も3万件を超えました。12年には1兆ウォンを超える基金となりました。莫大な件数と金額です。
在日韓国人が休眠口座の照会をするには、預けた銀行の営業店を訪問する必要があります。パスポートと特別永住者証明書等で本人確認すると、休眠口座および微笑金融中央財団の出捐休眠口座情報の提供を受けることができます。取り戻す方法は、預金元銀行を通じて微笑金融中央財団に請求すれば可能ですが、銀行ですぐに払い戻しを受けることはできません。日数がかかります。
休眠預金にされない予防対策として、1,韓国で3〜4年に1度は定期的に入金出金をする2,定期預金の場合は満期自動継続にしておく、10年たつ前に金額を分けたりして組み替える3,口座が普通預金で韓国に行けない場合は、日本から小額でよいから口座へ送金しておくなど。
これで休眠預金になることを防ぐことができます。つまり、「使っている口座」として動きを記録させればよいのです。これらのことを知っているか、実行するかどうかのちょっとしたことであなたの預金の運命が大きく変わります。
全国相続協会相続支援センター 在日韓国人相続相談室室長 鄭相憲)
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プロフィール
チョン・サンホン 明治大学法学部卒業後、韓国外換銀行に32年間勤務。在日総合サポート行政書士事務所を開設し、全国相続協会相続支援センター在日韓国人相続相談室室長を務める。
(2014.6.25 民団新聞)