関係下支えを自負
青少年相互訪問は3万人に
日韓文化交流基金は、未来志向的な日韓関係を築くため、国民レベルの文化交流の増進を目的として、1983年12月15日に誕生した。
日韓両国政府の支援のもと、各種の青少年交流や学術交流等の事業を実施し、日韓間の相互理解と信頼関係の増進という設立目標実現のため邁進してきた。設立以来、日韓関係の節目において、両国首脳会談や外相会談により各種事業が設けられ、実施団体として、30年が経った。
中心事業のひとつである青少年交流事業は、1989年から韓国国立国際教育院(当時・韓国学術振興財団)や外交部などとの密接な関係のもと、次代を担う日韓の青少年及び教員を対象に実施され、これまでの参加者は3万人にのぼる。
日程は相手国の社会に直接触れ、人びとと交流することにより相互理解を深めることを目的として、ホームステイや学校訪問、科学技術施設見学、文化体験等で構成され、都市部のみでなく地方都市をも訪問し、より多様性に触れられるよう配慮されている。
このたび、創立30周年記念事業のひとつとして『作文コンテスト最優秀賞作品集』をまとめたが、中高生たちは、「訪問国のイメージが180度変わった」「日本と韓国の間には友情と思いやりの強い絆だけがある」「日韓相互協力によって互いの良いイメージを高め合えば、世界に大きく貢献できる」といった率直で、前向きなメッセージを寄せている。
一方、フェローシップ(学術研究者交流)事業では、これまでの25年間に、招へいは603人、派遣は70人にいたり、フェロー経験者の多くが各領域で活躍し、責任ある立場から日韓両国について貢献している。
また、日韓の知識人の知的対話である、日韓文化交流会議、日韓歴史共同研究委員会、日韓新時代共同研究プロジェクト等、数多くの会議事業では広範にわたり、多くの時間と努力を充当し、運営・実施機関として着実に成果をあげてきた。
両国民の信頼回復へ全力で
文化交流会議では両国政府に提言が提出され、フォローアップ事業として日韓のアーティストによる共同公演や朗読会が開催された。また歴史共同研究では合計4000㌻もの報告書が作成、公開されている。
これまでの30年間の足跡を振り返り、当基金の事業実績と活動記録として、本年6月に『日韓文化交流基金30年史』を刊行しており、読者の方々には、ぜひ御参照いただきたい。
顧みると、日韓文化交流基金で実施した事業の参加者および関係者である青少年、学者研究者、文化芸術スポーツ界、草の根活動関係者が、いまでは日韓をつなぐ大きなネットワークとなり、両国の関係を下支えする役割を果たしてきていると自負している。
近年、年間500万人もの人びとが行き来する大交流時代に入り、来年は国交正常化50周年を迎える。そんな現在の時点においても、日韓両国の関係は過去の歴史から決して自由ではない。だからこそ、日韓文化交流基金は今まで築いてきたネットワークをさらに強化し、今後の30年に向け地道ながらも着実に両国国民の理解と信頼関係を強固なものにすべく努力していく所存である。
(2014.10.22 民団新聞)