世界には一風変わった税金がある。例えば、肥満防止を目的にしたハンガリーの「ポテトチップス税」。さらに、飲食店以外の店が日曜日に店を開けるときに課せられるドイツの「営業税」。
18世紀のフランスではなんと「空気税」を導入しようとしたが、こちらは国民の大反対により廃案。発案した財務大臣は辞するはめに。こんなこともあった。冗談では済まされぬ事態に陥った。韓国は1970年に4・53あった合計出生率が、13年には1・19まで急落した。何らかの手を打たなければ「韓国の人口は2750年にゼロ」になる見通しだという。
だからって、独身者は悪とばかりに保健福祉省幹部が「数年後をめどに、未婚の男女を対象に『独身税』を徴収することも考えられる」と発言したとは。若者から批判が噴出し、それは「冗談だった」と弁明したそうだ。多くの未婚者から聞こえてくるのは「経済的に苦しい」「就職難」「育児と仕事の両立は困難」というものばかり。
政府も少子化対策などに手をこまねいている訳ではないが、目立った効果を挙げていない。それでも先の空気税のように、何でもかんでも税金を課そうと考えるのはいかがなものか。68年から21年間、ブルガリアでは人口減少を食い止めようと「独身税」を導入したが、効果はほとんどなかったという。前例があるのに知らなかったのか。
以前、東京都議会の本会議で、女性議員に子どもは「産めないのか」などという、アホな男性議員のセクハラヤジがあった。今回の保健福祉省幹部の冗談発言もレベルは一緒だ。襟を正さないと、そのうち国民から「人権侵害だ税」を要求されますよ。
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(2014.11.26 民団新聞)