一年で一番寒い時期ですね。わたしの周りにも風邪をひかれた方が多くなってきました。例年ならばわたしもこの時期、必ずといってもいいほど風邪で寝こんでいたのですが、今年はまだ大丈夫なようです。もしかするとそれは「木爪茶」という、カリンを使った韓国伝統茶のおかげかも知れませんね。
むかしから寒さの厳しい韓半島では、風邪の予防に柚子茶や生姜茶が飲まれてきました。とりわけ木爪茶はよく効くと信じられ、秋にカリンの実が市場に出回るようになると、多くの家庭で漬けられるのです。
今シーズン、わが家でも手づくりの木爪茶をつくってみました。昨年の10月下旬にカリンの実を銀杏切りにし、蜂蜜と黒酢で漬けておきました。漬けあがるまでには少し時間がかかりますので、12月になってからようやく飲むことができました。それを毎日お湯でわって飲み、実も一緒に食べています。まだ風邪で寝込んでいないのをみると、やはり木爪茶は効果があるようですよ。先人たちの知恵の深さを、改めて知ることとなりました。
しかし、どんなに予防していても風邪をひいてしまうことだってあります。そんなとき大人たちは、「あのとき、コートを脱いじゃったからかなぁ」「事務所が乾燥しすぎなのよ。加湿器がないから風邪をひいちゃうのよ」「あいつのせいだ。あいつがコンコン咳きこんでいたから、うつったんだ」などと、自分が風邪をひいた理由を分析します。
今回紹介する『かぜひいちゃった日』は、主人公の女の子が、自分が風邪をひいた理由を、子どもならではの目線で考えていくというストーリーです。
雪がいっぱい降った日、オンマは新しいダウンを買ってくれました。ダウンを着て鏡に向かうと、羽根が一枚、飛びだしていました。羽根がどうして飛びだしたのかなあ? と考えているうちに眠ってしまいました。
目を覚ますと、目の前にたくさんのアヒルさんがいました。アヒルは羽根がなくて寒いといいます。女の子はアヒルさんに……。さてさて、女の子は自分が風邪をひいた理由をいったいどのように分析したのでしょうか? 絵本を読んで確かめてくださいね。
この絵本は、2002年の「ポリム(韓国の出版社)創作絵本公募展」の優秀賞を受賞しました。子どもの目から見た不思議さと、想像力のおもしろさを新鮮な感覚で描いたと絶賛され、フランスと台湾でも発売されています。
絵の下部はノートのようになっていて、女の子は自分が経験したことを素直な言葉でつづっていきます。まるで、子どもが絵日記を書いているようです。このような形式は斬新でした。
そうそう、斬新といえば日本語版では、今までにない画期的な試みもなされているのですよ。本文の一番下の方に、小さく韓国語が書かれているのです。わたしは日本ででた韓国の絵本を数多く見てきましたが、巻末にまとめて韓国語がついている絵本はいくつか知っていても、本文に韓国語がついているのははじめてでした。
韓国語を勉強している方に、ぜひ、お勧めしたい絵本です。
キム・ファン(絵本作家)
(2015.1.28 民団新聞)