ドキュメンタリー映画「花のように あるがままに」
今秋上映へ
【京都】中学、高校などを回りながら「差別を許さないで」と訴える在日同胞舞踏家を主人公とした長編ドキュメンタリー映画が5月にも完成する。フリーの映像作家、港健二郎さん(67)が企画し、自ら監督した。在日を取りまく日本の現代社会のありようを考えてもらう材料にと、在日と日本人の有志が「制作支援委員会」を構成し、後押ししている。
作品のタイトルは「花のように あるがままに」(70分)。京都を拠点に人権学習を兼ねた講話や講演を行い、在日との共存共栄を呼びかける梨花さん(梨花韓国舞踊学院代表、婦人会上京支部会長)の「過去、現在、そして未来を丸ごと描きたかった」と港監督は語る。
港監督は14年7月、大阪市生野区で開かれた在日マイノリティ人権研究センターの30周年記念集会でさんと出会った。「別れ」をテーマにした韓国創作舞踊を舞う姿に、港さんは涙が止まらなかったという。
港さんのルーツは鹿児島県の南端・与論島。祖先は明治期、与論島から勃興期の三井三池炭鉱に集団移住し、周囲から偏見の目で見られた。さまざまな差別も受けたという。共通の被差別体験に加え、へイトスピーチへの激しい怒りも港さんの背中を後押しした。
企画書によれば、さんを通して、在日同胞が抱える矛盾、不条理への怒り、そして、その克服に取り組む在日2、3世の生き方、考え方をできるだけ客観的に表現するのが狙いだという。
2月には在日同胞と日本人で構成する制作支援委員会も発足した。同映画のプロデューサーで、支援委員会共同代表の一人でもある河鉄也さん(59、民団京都本部副団長)は、「在日はみな、差別を背負って、苦しみながら生きてきた。こうした自分たちのルーツが分かる映画にしたい」と、応援を買って出た。
完成は5月末日の予定。製作予算300万円。これは1枚1500円の製作協力券を2000枚販売して賄う。今秋から全国で上映していく。製作協力券は全国共通。
問い合わせは同製作支援委員会(090・9332・6387、事務局・松井)。
(2015.4.29 民団新聞)