「許すな!ヘイト」と題した在日韓国青年会OB全国連絡会主催のフォーラムが6日、街宣の標的となった東京・新宿の新大久保であった。報告に立った日本人と在日のジャーナリスト、国会議員の3人は、「ヘイトスピーチは表現の自由ではなく、暴力そのもの。早急な規制立法が必要」と意見を表明した(写真)。会場となったミニ劇場「K‐Stage O!」には主催者の予想を上回る120人が集まった。
表現自由抵触せず
各地で過激な排外・嫌韓デモを繰り広げる「在日特権を許さない市民の会」(在特会)をその結成当時から追いかけてきたジャーナリストの安田浩一さんは、自らの取材体験から「ヘイトスピーチは暴力そのもの。その矛先はあらゆる在日外国人に向けられ、私たちが暮らすこの社会そのものを壊している。だからこそ、ヘイトスピーチを容認することはできない」と訴えた。
安田さんの発議に対しては、民主党の有田芳生参議院議員も同調した。有田議員は、ヘイトスピーチを、「表現による暴力ではなく、暴力そのもの」と話す。院内集会を呼びかけた2013年当時は、「表現の自由とのからみから規制するのは反対」との立場をとっていた。しかし、被害者から直接、話を聞くうち、「どうして普通に日常生活を送っている人たちが不安にさいなまされなけばならないのか」と考えるようになったという。
有田議員は壇上からの報告で、「ヘイトスピーチは日本国憲法で保障された人間の平等と尊厳を否定する行為であり、表現の自由とは決して相容れない」と強調、もっと多くの政治家にこのことに気付いてほしいと呼びかけた。
在特会と在特会会長を相手どった「反ヘイトスピーチ裁判」の原告として闘うジャーナリストの李信恵さんは、13年に新大久保で取材したときのことを語った。「デモ参加者にカメラを向けたら笑顔を見せた。関東大震災の時もこうして笑いながら殺していたんだろう」。
有田議員も、「差別と偏見のヘイトスピーチがヘイトクライムを引き起こし、やがてジェノサイドにつながっていく。これは歴史の教訓だ。今の日本の状況はとても危険であることを忘れてはならない。私たちと一緒に暮らす友人、仲間がそういう目にあうことは許されない」と述べた。
2部のフリートークではヘイトスピーチを克服していくための処方箋について話し合った。李さんは、「現実に被害者が血を流し、苦しんでいる。国が法規制という大手術を行うにはまだ時間がかかるので、応急手術が必要。マイノリティーの気持ちを分かってくれる人たちを一人でも増やしていきたい」と述べた。
安田さんと有田議員は、「文化、音楽を通じて市民同士、お互いに認め合う関係をつくっていこう」と呼びかけた。
(2015.6.10 民団新聞)