掲載日 : [2015-11-05] 照会数 : 4869
<布帳馬車>まるでサグラダ・ファミリア?
横浜駅を利用することが多いので、なるほどと思う。混み具合は県内でもトップのこの駅が、人々に「日本のサグラダ・ファミリア」という「尊称」をたてまつられていることだ。
構内には店舗など多数の施設があり、必ずどこかで工事が行われている。駅が開業した1915年から現在まで、工事のない日はなかったというのだから驚きだ。これをスペインにある未完成の建物になぞらえたのが先の「尊称」である。
美しい建物や新たな期待を抱かせる工事なら、間断なく行われるのも一興かも知れない。国と国の関係についての「工事」の場合はどうなのだろう。
今月に入って1日に韓日中の、2日には3年半ぶりとなる韓日の首脳会談が行われた。慰安婦問題をはじめとする韓日間の懸案はもちろんだが、中国の南沙諸島の領有権主張など議論すべきことは多いはず。
「サグラダ・ファミリア」は長い年月による老朽化のため、建築と修復を同時に行っている。過去の歴史認識や慰安婦問題の解決という〞修復”と、今起きている南沙諸島の平和的解決という〞建築〟を同時に行う必要がある3カ国の関係は、さながら「サグラダ・ファミリア」の様である。
朴槿恵大統領は一連の会談に際して、「雨降って地固まる」と述べた。3カ国首脳会議の定例化もあらためて決まった。
さすがの「サグラダ・ファミリア」も2026年に144年の歳月を持っての完成が「一応」予定されているが、慰安婦だったハルモニたちの命を考えると、そんな悠長には待っていられない。後の世代にまで不実工事の負債を残さぬよう、真の落成式を早く見たいものである。(U)
(2015.11.4 民団新聞)