飼われているイヌやネコは多くの場合、イヌは外で、ネコは室内で飼われていますよね。なぜ、そうなのでしょうか? 今回はそのわけがおもしろく語られているむかし話絵本、『いぬとねこ』を紹介しましょう。
むかしむかし、おばあさんがイヌとネコと暮らしていました。ある日、おばあさんはスッポンを助けてやります。あくる日、スッポンがやってきて、お礼にと竜宮に連れていってくれました。何とスッポンは、竜王の息子だったのでした。 おばあさんは竜宮でたのしく暮らしましたが、家に帰る日がきました。竜王がみやげをあげるというと、竜王の息子に教えられたとおりにこういいました。
「竜王さまのつえに埋めこまれている、そのたまをください」
それは魔法のたま。心で思っただけで大きな屋敷やきれいな着物が現れるのです。おかげでおばあさんの暮らしは、見ちがえるほど豊かになりました。
ところが、うわさを聞きつけた川向うのよくばりばあさんがやってきて、言葉巧みにたまを偽物とすり替えて逃げ帰るのです。おばあさんの暮らしはもとにもどってしまいます。元気をなくしたおばあさんを見て、イヌとネコは話し合いました。
「ねぇ、イヌさん、たまを取り返しにいこうよ」
「おう、よくばりばあさんの家にいけば、きっとたまは見つかるさ」
ネコは泳げませんが、イヌは上手に泳げます。イヌはネコをおぶって川を渡りました。よくばりばあさんの家はとても立派な屋敷になっていましたから、すぐにわかりました。イヌが見張りをし、屋敷に入ったネコはネズミたちを脅して、魔法のたまを取り返すことに成功するのです。
あとは川を渡っておばあさんに届けるだけ。帰りもイヌがネコをおぶって川を渡るのですが、泳ぎながらイヌが聞きました。
「おい、ねこさん。たまはあるかい?」
「……」
「おい、ねこさんよ! たまはあるかと、聞いているじゃないか!」
腹を立てたネコが、
「口のなかにあるともさ!」と、いった瞬間、たまは川にポチャン。イヌはそそくさと帰ってしまいますが、ネコは川辺に打ちあげられたお腹の膨らんだ魚を見つけます。ネコがガブリとかぶりつくと、魔法のたまがあるではないですか!
おばあさんの暮らしはまた、豊かになりました。手柄を立てたネコは家の中で飼われ、イヌは家の外で飼われるようになったとさ、というお話です。
このお話は教科書に採用されてきたこともあり、韓国の子どもたちなら、みなが知っているお話です。
実は日本にも、これとそっくりの『いぬとねことふしぎなたま』というむかし話があるのですよ。助けるのが白ヘビ、金の粒をだすたまというところが少しちがいます。イヌとネコが川を渡り、ネズミを脅してたまを取り返すのも、ネコがしくじって川にたまを落とすのも一緒です。けれども、韓国のお話とまったくちがうのは最後の最後。イネとネコが仲良く一緒にたまを届けるところです。
各国のむかし話は似ているけれど、どこかちがう。ちがうから、おもしろいのです。
キム・ファン(絵本作家)
(2015.11.4 民団新聞)