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考え深めた母国の研修
李希玲さん
初めて母国研修に参加したのは高校1年のときです。親から勧められて「韓国に行ける」と簡単に考えていました。自分と同じような人がたくさんいました。自分に役立つこともあるし、違うこともたくさんあった。そのとき、人の意見を聞くことは大事だと思った。 次は大学1年のときですが、高校のときよりも考えが深くなり、人のことを理解できて自分はどうなんだろうと考えるようになった。
私は保育園のとき、人とちょっと違うということで自分は何人かということを考え始めました。小学校1、2年の頃は学校の民族学級に行きましたが、そのころは言われるままだった。今考えると、韓国語の読み書きができたことは良かったなと思います。
昨年9月、民団の大学生ワークショップに参加しました。行動力のある人が多く、皆さんの話はためになった。今、理系の学校に行っているので、理系の視点から考えられるようになることを強みにしたいですね。
私と同じような境遇の人がいる、自分だけじゃないという在日の人たちと出会い母国研修に参加して自信が持てるようになった。その場を提供してくれたのが民団です。韓国語をもっと勉強したいと思っているし、短期留学もしてみたい。
(東京 芝浦工業大学2年)
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オリニに伝える大切さ
朴媛鐸さん
高校2年のとき、初めて母国研修に参加しました。在日だからこそ知ることのできる歴史や絆があり、初めて会ったのに、初めてじゃない空気感にびっくり。そのとき出会った人とは今も続いています。もうひとつの居場所を見つけた気がします。
今、学生会愛知本部で副会長をしています。それまでリーダーシップはなく、誘導されるのを待っているタイプでしたが、相手を見て気持ちを汲み取ることや自分がどう動けばいいかが見えてきました。エネルギーは使うけど、やりがいがある。執行部の絆が深くなっていくのが分かります。
昨年、青年会主催のオリニキャンプ(2泊3日)にリーダーとして入りました。70人ちかくの園児や小学生が集まりました。最後は別れが辛くて泣きました。
私たちは過去の人が望んでいた未来を生きていると思う。今度は未来の人たちに何ができるのか。
それは私たちが行動しなければ変わらない。今は未来を生きる子どもたちに伝えていくことが大事だと考えています。
各大学で韓国語サークルが増えています。そのサークルや韓国人留学生とも連携して、日本の人に在日の存在を伝えていくことを自分の大学で広げています。
私は民団と関わって在日の友だちが増えました。イベントや行事に参加したことのない皆さんにも、私が経験したようなことを味わってほしい。民団の皆さんは温かいし、活動についても気を配ってアドバイスしてくれる頼もしい存在です。
(愛知 杉山女学園大学2年)
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民団を気軽な集い場に
李光平さん
僕は今、大学で外国語を学んでいます。いろんな国を回るのが夢で、これまでもインドやタイなど、アジアを中心に複数カ所を回ってきました。 民団のことを最初に知ったのは中学2年生のころ、母国研修に参加したときでした。それまで在日社会との関わりがなかった僕にとって、同じ同胞が沢山集まる行事というものは衝撃的でした。
大阪の建国高等学校に進学し、今は大阪の学生会に所属しているので同胞と過ごす時間は多くなったし、母国研修で知り合った人たちとは連絡を取り合っています。
民団は世代の壁を越えて、人が強く結びついてるところだと感じています。そういった意味で、非常に同胞にとって頼もしいという印象を受けます。
これからは在日についてあまり知らない人たちでも、気軽に接する事ができるようになればもっと人が集まるようになると思います。
(大阪 摂南大学2年)
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韓国で運動療法を学ぶ
金裕一さん
小学生のころ、親から自分が在日韓国人だということを教えられた。その後東京韓国学校へ転校し、高校卒業前に学んだ韓国語を活かしたいと思い、留学を決意しました。
大学で運動療法を学び、いずれは憧れだったスポーツトレーナーになりたいと思っています。今は韓国で勉強をしていますが、いずれは日本でも学び両国の知識を得たいです。
民団と初めて関わりを持ったのは小学生のころ、親に勧められて韓国に行くイベントに参加してからです。物心がついたとき、自分は日本人でも韓国人でもなく居場所がないと不安を抱えていました。しかし民団と関わりを持つようになって、自分は日本的でもあり、韓国的でもあるという考え方ができるようになりました。
今では東京の青年会に所属し、学生会主催のイベントにも参加しています。一方でスポーツで韓日戦が行われると日本の友人たちの間で肩身が狭くなったり、独島などの政治的問題では自分1人では無力だと歯がゆさを感じるなど、在日であるがために気持ちが沈んでしまうこともあった。
民団は僕が幼かったときから見て、同胞の数が少なくなってきたように感じられます。もっと学生会を中心とした若い世代の交流の場が増えれば良いのではないかと思います。
(東京 韓国・嘉泉大学2年)
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アジア視野に語学学ぶ
鄭美蓮さん
初めて母国研修に行ったときは思っていたことと違っていました。「宮廷女官チャングムの誓い」を見ていたから田舎だと思っていたけど、東京と変わらないので驚きました。
母国研修では友だちもできたし、恋愛問題なども語りました。同じ血の関係ができたというか、同胞同士のつながりができたことはうれしい。
大学1、2年のとき、KSJと大学生ワークショップに参加しました。韓国人留学生や修学生がいたのは大きかったですね。私たちはあまり韓国語を話せませんが、留学生は日本語が上手で、すごいと思った。大学では韓国語を取ろうと思っていたのに、なかったのでショックでした。今、中国語を勉強しています。
今年公州の大学の語学堂に留学を決めたのは、高校のときです。韓国との関わりを深く持ちたいと思ったし、視野も広げられる。日本に戻ったら大学3年ですが、アジア圏を視野に入れ、韓国語と中国語を生かした仕事に就きたいと考えています。青年会東京本部で韓国語の教室を月1回開いていますが、回数を増やしてほしいと思います。
(神奈川 法政大学2年)
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韓日双方からの視点で
梁里奈さん
2012年、高校の韓国人教師に勧められ、初めて母国研修に行きました。その時は自分が在日であるということを重く考えていなかった。脱北者がきて講義をしたけど、知らないことも多くて難しかった。でもそこから自分で勉強したいと思い、昨年、2回目の研修のときは事前にいろいろ調べ、勉強もしたので頭に入りました。
いろいろな在日に会い、普段、親に相談できないことも話せたし、皆の考えも聞けて前向きになることができました。
小学校のとき民族学級があって、勧誘の用紙が回ってきたとき私は日本籍だけど血は韓国、自分はどっちだろうと国籍のことで悩みました。民族学級で初めて本名を知り、韓国語を習った。その後も勉強したいと思い、高校で韓国語を選択しました。
最近は歴史とか強制連行の問題、在日はなぜ日本にいるのかとか、いろいろ勉強しています。でもその国にいって学ばないと分からないこともあると思う。私は日本で韓国のことを学びました。次は韓国で日本や本国のことを学びたい。
今年韓国の西江大学語学堂に留学する予定です。留学は高校のときから考えていました。語学堂で学んだ後、大学に編入したいという気持ちもあるし、日本で韓国語を生かした仕事をしたい夢もある。今、学生会主催のイベントにも参加しています。
(大阪 関西外国語大学短期大学部2年)
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在日仲間と支え合って
張ありんさん
小学校のとき、初めてオリニサマーキャンプに参加し、楽しくて中学まで出ました。高校からはオリニキャンプのサブリーダーなどを務めた。
一昨年から韓国で暮らしています。オリニジャンボリーでリーダーとして参加したとき、子どもたちが最後に「韓国のことを知ることができて良かった」と話す言葉を聞いてうれしかった。でも、スケジュールがハードだったので、今後、休み時間を増やしてほしいなと思います。
行事やキャンプなどに参加してきて、一緒に成長してきた在日の友人と知り合えたのは民団のおかげです。子どもたちもリーダーになれるよう成長してほしい。
ソウルの大学間の交流やコミュニケーションがもっと増えればいいなと考えています。私自身、民団のリーダーたちを見てきて影響されたと思いますが、今後その経験を生かしながら、大学生のコミュニティーの輪を広げていけたらと思っています。
韓国では多くのことを習って、いろいろな活動をしたい。もちろん、韓国の友人もたくさんつくり、勉強もしたい。
(東京 ソウル大学2年)
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保育士めざし前向きに
白沙希さん
小学生のときは自分の存在が嫌でした。日本で育ち、皆と違うという思いがあったからです。
高学年のとき、民団からオリニキャンプに誘われました。母から「友だちを作る感じで行ったらいい」と言われて行ったら、自分と同じ立場や境遇の人がこんなにいるんだと思った。それから自分の存在を否定することなくポジティブになりました。
中学生でオリニキャンプのスタッフとして参加したとき、小さい子どもの面倒をみるのはいいなと。そのとき保育士になりたいと思いました。
高校1年と大学生のときに参加した母国研修では、私と同じ気持ちで心を許せる人がたくさんいて嬉しかったですね。ここに参加したことで、深い自分のルーツを知ることができたし、悩んでいても連絡を取り合える人たちがいるのは心強い。
昨年9月、大学生ワークショップで国籍に関するテーマのパネルディスカッションのパネリストとして発言しました。そのとき、二重国籍、韓国籍、日本籍のグループに分かれました。私は日本籍の立場でしたが、日本と韓国の血が入っているので、両方の文化を持ちます。以前、辛い思いをしたこともあるけど、皆が受け入れてくれた。
民団に不満はありません。つながりがあることがうれしい。私はオリニキャンプや母国研修がなかったら、自分をずっと否定していたと思う。参加して人生が変わりました。いろいろ迷っている人は多いけど1回、体験してほしい。今年から教育実習が始まります。日本の学校ですが、子どもたちと関われるのが嬉しいです。
(宮城 石巻専修大学2年)
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韓国語に磨きかけたい
玉礼奈さん
小学校のときオリニ事業に参加、高校では民団主催の母国研修に2回行きました。研修では最初、こんなに在日がいるんだと知ってびっくりしました。
韓国の文化を体験したこともそうですが、知り合った在日の人たちと情報交換をしたり、悩みを相談したり、いろいろな話しができたことが良かった。
このときの経験を通して、韓国のことをもっと知りたいと思いました。家族と何度も行った韓国での経験もあって、それが韓国留学につながりました。
実は高校を卒業した18歳のとき、兄が韓国の大学に行っていたので、私も1年間留学しました。日本の居酒屋チェーン店でアルバイトをしたのですが、酔ったサラリーマンから私の発音が悪いと言われて、悔しい思いをしたことがあります。そのとき、もっと韓国語を勉強しようと思いました。
私は母国研修でいい経験をしたし、もっと回数が増えればいいな。自分の子どもも参加させたいと思っています。今は韓国の大学に早く行きたいという気持ちでいっぱいです。
(福岡 今年韓国の大学に留学予定)
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本国留学で「輪」広げる
鄭雄眞さん
小学校の頃から、支部の韓国語講座に通っていたので民団のことは知っていましたが、僕が本格的に民団と関わるようになったのは一昨年のKSJのときからです。以前からもっと同世代の同胞と出会いたいと思っていた僕にとってKSJは、まさに望んでいた場所でした。その後学生会の活動に参加するようになり、今は運営としてたずさわっています。
学生会は現在、月に一度イベントを行うだけにとどまっていますが、今後は留学生会との交流を増やし、自分たちの力でより韓国について学び、母国を身近に感じられるようにしていきたいと思っています。また昨年の秋に行ったKSJでは多くの同胞が集い、自らの在日としての意見を語り合いました。
参加した学生からも時間が足りなかった、もっと話す時間が欲しかった、という意見をいただいています。今年の2月に開催予定のKSJWではもっと仲間との交流を通じて、自分の考えを確立させられるようなイベントにしたいです。
今、日本の大学に通っていますが、今年から韓国の成均館大学校へ留学します。もともと日本よりも韓国の方が居心地が良いと感じており、以前から韓国で勉強したいと思っていました。向こうでも学生同士の輪を広げたいと思います。
(東京 東洋大学2年)
(2016.1.1 民団新聞)