掲載日 : [2003-11-26] 照会数 : 4188
<コラム・布帳馬車>「最大の南北交流」視
韓国から、南北軍事境界線のすぐ北側にある景勝地、金剛山を専用船で訪れる観光事業が、現代グループによって開始されてからまる5年になる。この9月からは陸路、軍事境界線を越えての観光も開始された。
日本の主要紙は、ソウル特派員らの陸路による金剛山観光ルポを、最近相次いで掲載した。本欄コラム子は3年前に日本人記者とともに豪華客船による3泊4日の金剛山クルーズ観光に参加した。
当時のことを思い起こしながら各紙のルポを読み、掲載された写真を見つめた。変化したことといえば、登山コースの途中にある食堂「木蘭館」など3つの北韓直営店が昨年10月から順次オープンしたことぐらいだろうか。
金剛山観光の拠点である温井里の休憩施設は韓国側が建設、運営し、従業員はほとんどが中国朝鮮族同胞で北韓住民は一人もいない。
現在も、観光客の移動は鉄条網に囲まれた道路によっている。温井里施設内で行われている北韓サーカスの団員に喝采を送ったり、景勝地のポイントに立つ案内員(環境監視員)や直営食堂の店員とやり取りするくらいで、北韓一般住民との接触は一切ない。
これまで金剛山には約57万人の韓国人が訪れた。だが、このことをもって「最大の人の(南北)交流」(9日付朝日新聞「風 金剛山から」)とするのはどうか。残念ながら、北韓の一般住民は、いまだに観光地区には入れず、「交流」はもとより「接触」すら禁止されているからだ。
(Y)
(2003.11.26 民団新聞)