掲載日 : [2016-04-20] 照会数 : 5071
<布帳馬車>セイゴオ先生 しっかりして!
「1950年代にアメリカが介入して朝鮮戦争がおこり、南北朝鮮が分断されてしまった」(春秋社『18歳から考える国家と「私」の行方<東巻>』276頁)
いまだにこんなことをいっているとは。著者はセイゴオ先生こと松岡正剛氏(編集工学研究所所長)。日本文化はもとより中国、韓国(朝鮮)を含め世界の文化・歴史に通じている博覧強記の人として知られる。
同書は『誰も知らない世界と日本のまちがい‐自由と国家と資本主義』(07年12月)を基に内容・構成を改め、大幅に加筆・修正し昨年12月に刊行された。だが、引用した箇所は、「加筆・修正」なくそのままとなっていた。それが史実とは異なる「珍説」(重大な誤り)だとの認識はまったくないようだ。
3年ほど前に『17歳のための世界と日本の見方』の続編という『誰も知らない…』を読み、引用の箇所を見つけた。出版社の担当者に電話で、「史実としての『朝鮮戦争』は北朝鮮・金日成による奇襲南侵によって50年6月25日に引き起こされた。しかも、韓半島は45年の日本植民地からの解放時点で米ソによって南北に分断され、48年には双方にそれぞれ政府が樹立されている」と指摘、「増版などの際には訂正なり修正が必要ではないか」と申し入れたことがある。それだけに残念だ。
しかも、『国家と「私」の行方<西巻>』では「朝鮮戦争は国連も介入して三年後に休戦します。アメリカは韓国と軍事協定を結んで、ここに南は『大韓民国』(いまの韓国です)が成立します」(149頁)と説明している。「韓国の成立」は48年でなく53年が正しいのですか。
セイゴオ先生! しっかりしてください。(Y)
(2016.4.20 民団新聞)