掲載日 : [2016-06-29] 照会数 : 4779
<布帳馬車>母の勇気と決断にエール!
高齢の母親が3月から週1回、日帰りの介護サービスを利用している。一昨年末に腰を痛め、1カ月間ベッド生活を送った。このとき要介護2の認定を受け、地元の在宅サービスセンターのお世話になることに。母は杖をつきながら少しずつ歩けるようになったものの、脚の筋力低下は一目瞭然。寝たきりは何としても避けたかった。
昨年、センターで行われている高齢者向けプログラムを知った。昼食を挟んで午前と午後は軽い体操をはじめ、カラオケや手話ダンスなど多彩なレクリエーションが日替わりで行われている。疲れたら休憩しても横になってもいいという緩やかさが気に入った。私はケアマネージャーと一緒に母に説明したが、最初は拒まれた。
利用者は全員日本人。韓国人をどう思っているか分からない人たちのなかに一人で入っていくこと、難しい漢字や日本の歌だって良く知らないという不安がいくつもあった。私は母が抱えている不安をケアマネージャーに正直に伝えた。彼は言った。「在日の方のことは初めて知りました。話してくれてありがとうございます。今の話は担当者に伝えますので心配しないで下さい」
初めてデイサービスを利用した母が持ち帰ったのは書道の半紙。半紙いっぱいに書かれた力強い文字を眺めながら「すごい」と褒めた。以来、いろいろな作品を持ち帰っては報告してくれる。今では母の姿を見つけた利用者の方々が声をかけてくれるそうだ。
初めはお試しの経験だったのが、母の大切な時間になっている。一歩踏み出した母の勇気と決断にエールを送りたい。
(H)
(2016.6.29 民団新聞)