掲載日 : [2016-07-27] 照会数 : 6242
<布帳馬車>韓国語とカタカナの関係
「なんだ! そのカッペイングリッシュは」
中学生のときの英語授業で、発音の悪い生徒に向かって発せられたのがこのフレーズだ。カタカナ表記通りに「アップル」や「ザ」なんて言おうものなら容赦ない。その場で何度も練習をさせられ、それでも改善しなければチョークが飛んだ。
発音に関しては厳しい女性教師だった。「リピートアフターミー」。RやL、thなどの発音をたやすくこなす生徒もいれば、最初から白旗を上げる生徒も大勢いた。当時、分からない単語やセンテンスの横に書き込んでいたのはカタカナだった。
実は外国語を学ぶときにカタカナ発音で覚えるのは間違いだと気づいたのはずっとあとだ。日本語の音の種類は110種類程度。それが英語になると2000種類以上、韓国語の場合は3000種類に及ぶと言われる。日本語にはない多くの音を持つ韓国語や英語の発音に、無理矢理カタカナを当てはめるとどうなるだろうか。
例えば歌手の天童よしみが「珍島物語」で、「海の神様カムサハムニダ」と歌っているけれど、韓国語では「ム」とは発音しない。韓国語とはかけ離れているし、日本だけで通用する発音だと考えていいだろう。
「韓国語の発音は難しい」と多くの人が話すけれど、それはカタカナ発音で勉強してきたからだ。韓国語を学ぶ最初のコツは文字の成り立ちを理解し、日本語とは異なる口や舌の動かし方を徹底的に真似すること。次第に「ム」が「ム」でないことに気づくはずだ。当時の英語教師はカタカナが与える影響について言及はしなかったが、カタカナに頼らず体で覚えろと言いたかったに違いない。(R)
(2016.7.27 民団新聞)