掲載日 : [2003-12-10] 照会数 : 4699
<コラム・布帳馬車>言葉の暴力を越えて
日本による韓国併合や植民地支配について、今年は政治家らの暴言が相次いだ年として歴史に刻まれるだろう。
以前なら問題発言の主は、役職から追われたはずなのに、その「威勢のよさ」が、国民の支持を集めるという歪みが出ている。
長引く不況がもたらす閉塞感が、人々の判断を誤らせているのか。それとも強さを強調する者に同調すれば、自身の弱さが消え失せるとでも思っているのだろうか。「寄らば大樹の陰」全盛の感がある。
さて、言葉の暴力は一部の日本人にとどまらない。驚くことに、命からがら北韓から逃れてきたかつての在日同胞に対して、「脱北者は犯罪者、反北朝鮮、反総連」と口汚くののしる同胞がいるのである。天につばする行為とはこのことだ。
言葉は一度放たれると、もはや飲み込むことはできない。まして言葉が暴力になると、打たれた側の傷は容易には消えずに残る。
暴力輩が忌み嫌われるように、暴言を繰り返す者は、品位を疑われ、やがて「おごれる平家久しからず」という運命をたどるだろう。
そもそもなぜ在日同胞が北に渡り、やがて北を捨てなくてはならなかったのか。心あるならば、想像力を働かせ、暴力ではなく、優しさで彼らを包むべきではないのか。
その一つの形が、13日の「脱北者支援チャリティコンサート」(韓国中央会館、15時)だ。多くの方の参加で、脱北者の将来に少しでも光をともしたいと思う。
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(2003.12.10 民団新聞)