掲載日 : [2017-06-28] 照会数 : 5295
韓国テンプルステイ<6>金井山 梵魚寺
韓国文化に傾倒する外国人増え
釜山市北端の地下鉄「梵魚寺」駅からバスで10分と近い。車中はリュックを背負った人で満杯だ。梵魚寺入口で下車して境内に入り、途中から金井山に登る人とわかれる。ほどなく一柱門に着く。中央部が太く丸みをおびた4本の石柱が独特で、どっしりとしたおおらかさで参詣者を迎えてくれる。曹渓門とも呼ばれる。
寺の創建縁起によると、統一新羅時代の678年、高僧義湘が創建したとされる。梵魚寺と金井山の名称は、天上界に住む梵天という魚が金色の井戸におりてきて遊んだことに由来する。
境内には外国人の参拝者が目についたが、今回のテンプルステイ参加者もノルウェイ、スペイン、ハイチ、香港、日本、そして韓国の6カ国7人(男4、女3)と国際色豊か。担当の孫トンジンさんがつきっきりで英語通訳してくれるので、韓国文化にふれたい外国人観光客が増えている。
玄如、頂圓の2僧侶の指導により合掌や参拝などの礼儀作法について習う。「合掌する姿はだれもが美しい」と、門や殿閣を出入りする際には合掌することを勧めた。参加者は座禅の体験があるらしく、すんなり瞑想の世界に浸っている。
殿閣は山の傾斜に合わせ3段に分けて配置され、立体的な趣に富み興味ぶかい。殿閣のなかで珍しいのが、大雄殿の左側にある法堂。ひとつの建物に八相・独聖・羅漢殿の3つの仏殿が並び、参拝者は順に合掌していく。
仏教で食事のことを供養(コンヤン)といい、その作法を鉢盂(はつう、バル)供養と呼ぶ。修行の一環で法供養とも称される。4つの椀を重ねてふきんで包んだものと、木のはしおよびスプーンをお膳に並べる。「バシッ」という僧侶が打つしっぺい(竹の棒)の音を合図に、ご飯、汁、おかずを順に回していく。
最近は鉢盂供養をするところが少なく、一般にはビュッフェスタイルの食事をとる。残すことは許されず、食後は自分で食器を洗うのが原則だ。
僧侶の養成機関である「僧伽大学」を擁し、僧侶数は約80人。10カ所ある庵のうち、東側に位置する鶏鳴庵にのぼれば、山にすっぽり包まれた梵魚寺と釜山市内が望める。
韓国有数の山城が見られる金井山には東西南北に城門があり、そのひとつ北門をめざして登った。渓流に沿って岩だらけのコースだが、4月半ばの新緑は芽吹きがすがすがしい。上に行くほど美しいツツジが増えていく。休日のせいか、家族連れや若い人が多く、釜山市民にとってかっこうのハイキングコースだ。
小1時間ほどで北門に着いた。左右の東西方向に石積みされた塀が伸びている。案内板には「1808年、住民たちが柱や梁を運んで積んだ石城で、装飾をほどこさず4門中もっとも素朴」とあった。
◇釜山広域市金井区梵魚寺路250(℡8251‐508ー5726)
供養(コンヤン) 食事をする行為。食事中は無言が原則。精進料理は肉を使わず、野菜や穀物、豆類が中心。精進とは、戒律を守り正しい行いをするためにひたすら努力すること。ニンニクやネギ、タマネギ、ニラといった精力のつく食材は使わない。
宋寛(韓国文化研究家)
(2017.6.28 民団新聞)