掲載日 : [2003-12-24] 照会数 : 4382
<コラム・布帳馬車>アボジ、オモニへ
親から虐待されたり、子ども自身が陰惨な犯罪の加害者になるというニュースが、連日のように報道されている。子どもたちを取り巻く環境が、だんだん劣悪になっている気がしてならない。
私たち在日同胞の子どもたちも、日本で生まれ、この時代に育つことを思えば、一体、この国の将来はどうなるのか、と憂慮せざるをえない。確かに物質的には豊かになった。高望みさえしなければ、たいていの物は手に入る。
だが、我慢をすることを知らずに育ち、気に入らなければ、暴走する、最近の言葉で言えば、「切れやすい」という精神の貧しさは、どこに原因があるのだろうか。
問題は日本だけではない。数日前、韓国で20代の父親が、幼い子ども2人を冬の漢江に投げ捨てて殺すという残虐な事件を引き起こした。借金苦が理由だというが、まさに鬼畜の所業である。
子どもは親が望まなければ、この世に生まれてくることはなかった。子どもは天からの授かり物であって、自分の所有物のように親がどうにでもできる存在ではない。きちんと育てて社会貢献ができる人間に育てる、という認識でいれば、少なくとも悲惨な事態は避けられるはずだ。
「モノより思い出」というCMがある。クリスマスから正月にかけて、アボジ、オモニは多忙を極めるだろうが、親子で語らう時間をつくってほしい。子どもが生まれた時のあの感激を新たにしてほしいと、心からそう思う。(C)
(2003.12.24 民団新聞)