掲載日 : [2004-04-30] 照会数 : 4521
<コラム・布帳馬車>タン塩が消える日
タン塩の醍醐味といえばその風味と柔らかさ、そして適度な塩分だろう。レモンを絞ってかければなおいい。低カロリーで、ビールとの相性も抜群。私も一時期、仙台に駐在していたときは、週末に牛タン専門店で食事することが無上の喜びだった。
そのタンも米BSE問題のため、輸入ストップが続いている。いまや食材隠しで品物が手に入らず、仕入れ価格がどんどん高騰しているという。
消費量「日本一」といわれる仙台でも例外ではない。このまま仕入れができなくなれば「閉店に追い込まれる」と心配する声すら上がっている。
そのタイムリミットは5月という説が有力だ。ある同胞の焼き肉店経営者は「小泉首相とブッシュ大統領の間柄だし、輸入禁止は長くない」と楽観していたものだ。どうやら、これは希望的観測でしかなかったようだ。
米国産のタンはきれいにカットされていて扱いやすく、調理にあたっては、和牛のようなロスが少ないという。このため和牛専門でも一部の焼肉店では米国産タンを使ってきた。このままいけば、牛丼と同じくタン塩も焼肉店から消えていく運命かもしれない。あたりまえだが、タンは牛1頭から1本しか取れない。
「どこやらの某国会議員の先生のように2枚舌があればいいのですが」。
ある焼肉店の店主のつぶやきだ。(K)
(2004.4.28 民団新聞)