コラム・特集 内容

無条件、即刻中止を

「我々の姿勢が問われる」
抗議行動呼びかけも

 北韓が94年、ジュネーブで米国との間で交わした枠組み合意を踏みにじり、「韓半島非核化共同宣言」(91年)にも反して核開発を継続していたことが明らかとなり、在日同胞社会から憤りの声が高まっている。在日同胞は被爆体験をもち、核の脅威は身をもって体験しているからだ。核兵器開発計画の即時中止と査察の受け入れを求める声は高まるばかりだ。

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北への援助再考のとき

 姜文煕さん(民団広島本部原爆被害者対策委員長) 北韓が国際的な約束ごとを無視、隠れて核開発を継続していたと知りびっくりした。考えてみれば、とても恐ろしいことだ。

 なぜならば、私自身が被爆者の一人だからだ。核の怖さは身をもって体験している。

 韓国の「太陽政策」は理解できるし支持もしてきたが、北が核開発を認めたいまは、北との協力関係のありかたも見直すべきだ。個人的にはびた一文たりとも援助してほしくない。

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北は国際的約束を守れ

 林宏さん(民団栃木県本部団長)韓国の「太陽政策」については理念は賛成だが、検証作業を伴わないなど詰めが甘すぎた。北の核開発継続の事実が明らかになったいま、そのことを痛感している。

 北の核がどこに向けられているのか。いうまでもなく同族の住む韓国であり、日本だ。とんでもないことだ。いまとなっては、これまでの米支援は慈善事業だったのかとなってしまう。

 北はまず国際的な約束を守り、核開発を即刻中止してほしい。核査察も無条件に受け入れるべきだ。

 これ以上北韓が同族を欺けば、誰が大統領になろうと反北世論が沸騰するだろうことを、北は知るべきだ。

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同族として恥ずかしい

 鄭早苗さん(大谷大学教授) 核開発を継続しているというニュースを聞きながら、同民族の国が「約束を破った」ということに恥ずかしさと憤りを感じた。

 1945年の在日朝鮮人もまた広島、長崎の被爆者であったという痛みをいうなら、在日コリアンこそがちゅうちょなく北に抗議しなければならないし、一片の擁護も許されるべきではないと思う。

 小泉首相訪朝によって明らかにされた拉致という国家犯罪に関連して、民族学校になされた嫌がらせに対する抗議以上の緊張感をもって、在日コリアンが核開発に抗議を行うことが「共生」の前提であると考える。

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包括的対話で事態の打開を

 河信基さん(静岡文化芸術大学講師) 北韓の核開発は、「朝米枠組み合意」への明白な違反である。即時に廃棄させなばならないが、あくまでも対話を基本にすべきである。

 第二のイラク、といった乱暴なやり方は「第2次朝鮮戦争」の危険性を高め、わが民族には甚だ迷惑なことである。

 問題の根源は米ソ冷戦による南北分断にあり、早くから韓国に核を配備し、北の核開発を誘発した米国にも責任がある。冷戦の遺物の清算、半島非核化という見地から、ブッシュ政権は先制攻撃不行使、平和協定締結、関係正常化など包括的対話を通して事態の解決を図らねばならない。

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威嚇によるゆすりと同じ

 壽隆さん(青年会会長) 北韓が「核兵器開発」を進めている事実を認めたことには、大変な憤りを感じている。94年のジュネーブ合意でも経済支援を獲得したように、またもや交渉のカードに「核」が利用されている。

 これは〞威嚇による強請〟である。懸念を抱く各国の姿勢からも、戦争の恐怖が目の前にちらつく。祖国での惨劇が再び起こってもよいのか。答えはNOである。

 今度の話は75日過ぎれば消えていく噂のレベルではない。在日同胞には何ができるのか。姿勢が問われている。

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韓米日が協調中止を求めよ

 姜勝煕さん(民団三重県本部団長) 「核の疑惑」だけでは交渉のカードに使えないために開発を認めるという非常に悪辣で巧妙な手法だ。

 すでに94年の米朝枠組み合意で核開発をやめる代わりに軽水炉建設、重油供給などの見返りを得ている。なのに裏では開発を続けていた。韓米日が協調して、北韓の核開発を完全にやめさせなければならないだろう。

(2002.10.30 民団新聞)

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