掲載日 : [2005-06-29] 照会数 : 7253
【特集 新宿・大久保地区】多文化共生の街づくり
[ ハングルの看板がならぶ大久保通り
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[ 韓流を発信する大久保の韓国商品専門店(上)、コーヒーを飲みながらの韓国講座光景(下) ]
90を超える国籍の人たち
違いを認め合い、互いを尊重、豊かに生きよう
90を超える国籍の人々がともに暮らす街、東京・新宿。多文化共生時代を迎える日本の最も先鋭的な現実のなかで、受容と排除の間で揺れ動きながらも、共生の街づくりを探る地域住民の姿がある。(金裕哲記者)
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外国人住民比率日本一の新宿・大久保地区
韓国人留学生・李秀賢さんがホームから転落した人を助けようとして轢死した新大久保駅。この界隈は多国籍の人々でにぎわう。
割引国際電話カードを販売している中国人留学生の余さん(25)は、日本語の教材を見ながら無表情で客を待っている。売れ行きを聞くと、「これも競争が激しいからパッとしない。時間的に余裕はあるが、学費が心配」と暗い顔をする。
通りがかりの東南アジア系とおぼしき人に声をかけると、20年前に留学にきて、今は日本で永住し流通業をしているインド人だと自己紹介した。そのビモルさん(39)は「ヨーロッパから名品を輸入して販売している。日本人はブランドものが好きだから何んとかやっている。ただ、取引の際には文化の差を感じる」という。
大久保で30年間営業してきたこの町の生き証人・不動産業の清水さん(59)は「新宿、特に大久保、百人町は部屋の賃貸問題でほかの地域より外国人の受容が目立つ。日本人の保証とか面倒な要求がないのも特長。昔と比べたら隔世の感がする」と国際化されたこの地域の賃貸文化を語る。
食堂を経営している坂井さん(43)は「周りに韓国や中国料理の専門店が多く、まさに国際ストリートと言える。いろいろな生き方や文化の違いだと思うが、彼らはゴミの出し方が荒い。日本で住む以上、守るべきことは守って欲しい」と厳しく指摘する。
ニューカマーで韓国生活情報誌の月刊ハッピー通信の発行人・陳さん(45)は「一歩外に出ると、そこにはいろいろな国の文化に育まれた人々との多元的な交流の機会に出会うことも多い。雑誌を発行し、街の催しなどを皆さんにお伝えし、相互のコミュニケーションにも努めている。その意味で社会の動きに関心を持っている地域住民の『広場』と言える」と述べる。
「多文化共生」とは多民族・多国籍という側面だけではなく、ジェンダーや世代、職業、階層、身体的な側面なども含めて考えるべき問題だ。言い換えれば、さまざまな意味で多様な人々が互いの違いを認め、尊重しあい、ともに豊かに生きていくことができるような開かれた地域社会づくりであることを、改めて感じた。
(2005.06.29 民団新聞)