掲載日 : [2005-07-13] 照会数 : 20083
<font color="red">韓国、外国人に地方選挙権…アジア初
[ 永住外国人へ地方選挙権付与を決めた韓国国会の本会議 ]
「永住」取得3年で、19歳以上を対象に
日本での獲得運動に弾み
韓国国会は6月30日の本会議で、永住の在留資格を獲得した日から3年を経過した19歳以上の外国人に、地方自治体選挙の選挙権を付与することを決めた。民団の要望が実ったもので、在日定住外国人の地方参政権獲得にも弾みをつけそうだ。
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地方自治体の議会議員および長の選挙権を付与されるのは、出入国管理法第10条(在留資格)の規定による永住資格取得日後3年が経過した19歳以上の外国人で、選挙人名簿の作成基準日現在、出入国管理法第34条(外国人登録票の作成および管理)の規定により、当該地方自治体の外国人登録台帳に登載された者、となっている。これを盛り込んだ「公職選挙及び選挙不正防止法一部改定案」が可決されたもの。 この法律は公布日から施行され、施行後に実施される任期満了にともなう選挙から適用される。韓国では昨年7月施行の地方自治体住民投票法で、永住外国人に住民投票請求権と投票権を付与した。今回の改定はそれに続くものだ。韓国の永住外国人は2万人余と推計されている。
民団はこの間、東アジアの和解と共生のためにも、その基軸となる韓日両国が定住外国人に地方参政権を与えるよう、政府・議会などに繰り返し要望してきた。日本では地方議会を中心に支持が広がり、韓国でも外国人の人権擁護、在日など在外同胞の権益向上支援、国際化時代に対応した国家イメージの改善などの観点から、呼応する動きが高まっていた。
民団中央の常任顧問で地方参政権特別委員会の辛容祥委員長は、「韓国国会の英断を高く評価する。私たちの問題提起が一つの結実を見たわけで、民団運動が大きく前進したことを意味する」と述べ、「本来なら先行すべきであった日本の対応が問われる。韓日の政府間はギクシャクしているが、こういうときだからこそ、架け橋を担う在日同胞は両国の関係改善、さらには共生のために大きな意味をもつ地方参政権の獲得に、一丸となるべきだ」と呼びかけた。
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民団中央団長談話
国会 真摯に対応を…自治参与は基本的権利
民団中央の金宰淑団長はこのほど、韓国国会が永住外国人に地方選挙権を付与する法案を可決したことに対し、要旨次のような談話を発表した。
韓国国会がアジアで初めて、永住外国人の地方選挙権を認めたことを高く評価したい。
定住外国人が地域の自治体に制度的に参与する基本的権利の象徴として、私たちは長い間、日本政府・国会・各政党に地方参政権の実現を求めてきた。これに対して一部では、相互主義を口実に頑な反対意見があった。私たちは韓国に対しても、永住外国人の基本的権利として、あるいは民主主義の成熟化と国際化、さらにはアジアの平和と和合のためにも必要であると訴えてきた。
日本では98年に永住外国人への地方参政権付与法案が提出され、4期にわたって審議されてきた。すでに採決の段階にあるにもかかわらず、一部議員らの反対によって成立できずにいる。95年に最高裁は地方自治体選挙権について、永住外国人に付与しても違憲でないと判示し、付与に賛同する決議も1524地方自治体に達しており、永住外国人への住民投票権の付与は194自治体に及んでいる。
このたびの韓国の法改正を契機に、日本が法案を早期に成立させることを強く望む。一部の外国人問題や内外の諸情勢を口実に、これ以上引き延ばしてはならない。日本の真摯で積極的な処置を韓国や永住者のみならず、世界が注目していることを忘れてはならない。
(2005.7.13 民団新聞)