掲載日 : [2005-07-27] 照会数 : 11153
「川崎方式」市が弾力運用示唆…182職務制限
182職務制限「法律ではない」
市民団体に回答
【神奈川】一般職採用後も外国籍であれば徴税など「公権力の行使」にあたるとされる182の職務に任用せず、決裁権のある管理職にも登用しないとしてきたいわゆる「川崎方式」に風穴が開きそうだ。川崎市総務局人事部の担当課長が21日、市民グループ「外国人への差別を許すな・川崎連絡会議」(望月文雄代表)との話し合いの場で初めて事実上の見直しを示唆した。
船橋兵吾参事・人事課長は、182の職務制限について「公権力の行使といっても先輩たちが観念的に基準を決めたもの。法律ではなく一つの目安でしかない。入ってすぐガチガチにやれば、優秀な人材が育たない。世の中の動きに目配りしながら弾力的にやっていく」と明らかにした。
また、昇任制限についても「優秀であれば理事にもなれる。若いときは職場の性質にもよるが、ラインの勉強をさせることもありうる」と係長や課長といった幹部候補生になるまでは柔軟に対処していきたいとの考えを述べた。
連絡会議の一員として市との話し合いを取り仕切ってきた崔勝久さんによれば、182の職務制限については許認可関係も含めて一切見直す考えはないというのがこの8年間、市側の一貫した考え方だったという。それだけに「実質的に見直しを約束したに等しい。ようやくここまできた」と歓迎している。
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「川崎方式」とは
川崎市は政令指定都市としては全国に先がけて96年、消防職を除く全職種で外国籍住民への門戸開放を打ち出した。しかし、独自の判断でガイドライン「外国籍の任用に関する運用規程‐外国籍職員のいきいき人事を目指して」を設け、外国籍者は採用後も全3509職務のうち182職務について「職務判断基準」を適用して任用を制限。「公の意思の形成への参画」に携わる決済事務権のある課長職以上の管理職昇進も認めていない。この方式は以降全国に広がったため、一部で「川崎市は民族差別を全国に先じて制度化した」とも指摘されてきた。
(2005.07.27 民団新聞)