掲載日 : [2005-08-13] 照会数 : 11523
<光復節60周年>在日オリニも…架け橋に
[ 東京青年会のキャンプで8月6日、班対抗の競技を声援するオリニたち ] [ 9月4日、東京・新宿で開かれるオリニ運動会のポスター ]
在日だからオリニも架け橋になれる
遊びの中に夢を馳せ…感性豊かな仲間づくり
毎年、民団は各地で林間・臨海学校などを開催する。韓国の歴史や文化、韓国語などを楽しく学びながら、同胞の仲間たちと交流を深める場として、多くの在日子弟たちが参加している。オリニたちは感性や思考が柔軟だ。初対面でもすぐに仲良しになる。在日を中心に韓国と日本のオリニが一堂に会し、交流を重ねれば、その分だけ韓日の未来は明るくなるのは間違いない。
文美恵さん(中2)が東京の民団荒川支部の夏期学校に参加するのは今年で3回目。年々、学習意欲は増している。「韓国の古い歴史を知ったし、ハングルも意味が少し分かるようになった。もっとほかの会話を覚えたい」。理由は、韓国で暮らす祖母と話をしたいから。
左秀雅君(中2)の一番嬉しかったことは、商品券を4枚もらったこと。韓国語で発表するたびに受け取るシールが、一定の枚数にたまったときに商品券と交換される。秀雅君の通学する日本の中学校に、韓国の中学生たちが訪れたときに通訳をしたことがある。「恥ずかしかったけど、少し自慢」とか。
「夏期学校は本当にいいところ」と話すのは、同じ夏期学校に参加した小学校3年生の加藤由紀さんだ。これからもっと難しい単語を覚えたいという欲も出てきた。母親の任良淑さん(50)は、「家ではなかなか教えられないが、参加するようになって、韓国に対して親しみが出てきた」という。
「民族意識に芽生える子どもたちはよくいる」と話すのは、韓国で実施したオリニサマーハイキング引率者の権源宅・民団福岡支部事務部長。韓国に行くのは、子どもたちに祖父、祖母の生まれた国に触れてもらいたいからだ。慶州の浦項初等学校を訪問した際には、地元の児童たちと交流を深め、またホームステイでは、韓国の人々の温かさを感じたようだ。
愛知県本部の臨海学校に参加した徐智淑さん(中1)は「大きくなったら青年会のスタッフになりたい」と話す。引率したお兄さんやお姉さんたちが親切で、その姿が印象に残ったからだ。
青年会東京本部の子どもキャンプの参加者たちも、それぞれの思いを語ってくれた。
金禹蘇君(小6)は足立夏季学校に通い、子どもキャンプに来るようになった。最初、団体生活だからつまらないと思い、あまり期待はしていなかったが、想像以上に楽しかったという。
「班長のお兄さん、お姉さんが明るく親切。大きくなったらこういうボランティア活動をしたい」と話していた。
許真栄君(コロンビアナショナルスクール中等部1年)は、「コンピューターが大好きで、ビルゲイツや孫正義のような大物になれたらいいな。有名になっても国籍は変えるつもりはない」と語ってくれた。
そして、「最近の独島問題や歴史教科書問題でもめるのを見ると微妙な気分がする。日本人の友だちも多い。韓国と日本はいつまでも仲良くして欲しい」と思っている。
権沙理さん(中1)の将来の夢は保育士になること。今回班長のお兄さん、お姉さんの笑顔と親切な姿を見て、ますますその思いは強くなった。「子どもがやりたいという夢を一緒に育ててあげられる保育士になりたい」とにっこり。
知り合った韓国人の友だちとメールや手紙で長く付き合いたいと話すのは崔正勲君(中1)。
正勲君は杉並区に在住していることから、「つくる会」の歴史教科書採択に反対の署名をした。「戦争をしても良いと教える教科書は絶対なくすべきだと思う。将来、弁護士になって弱い立場の人を救いたい」というのが夢だ。
申瑜美さん(小4)は、「学校の友だちも良いけど、このキャンプで知り合った友だちはなぜかもっと親しみを感じる。やっぱり同胞だからかな。学校に行ったらキャンプでのことを自慢できる」と目を輝かせていた。
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オリニ運動会 東京・新宿で来月4日に
韓日児童ら1000人集う…各界各層バックアップ
在日コリアンと日本人がスポーツを通じて共生社会を目指す一環として、日韓友情年2005認定事業「オリニ(子ども)運動会」が9月4日、東京の新宿スポーツセンター大体育館で開かれる。この運動会は在日本大韓体育会関東本部(宋一烈会長)が企画、韓日の各界に呼びかけて開催にこぎ着けた。中山弘子・新宿区長も積極的に応援している。主催は同本部と東京韓国学校、新宿区教育委員会が連携する「オリニ運動会」実行委員会。
後援は韓国大使館をはじめ、民団の中央本部や東京本部、日本の外務省などで、未来志向の韓日関係を願う各界各層の大きな期待が寄せられている。
新宿区は多文化共生社会の代表的地域として、全国でも外国人の比率が最も高く、中でも多くの韓国人ニューカマーが居住している。運動会には都内在住の在日オリニ500人と日本の子どもたち、保護者合わせ約1000人の参加者を見込んでいる。
宋会長は「次代を担う3・4世の子どもたちと日本の子どもたちが、父母といっしょになって交流すれば、必ず感動を共有する場になる。これこそ真の友好と在日社会の発展につながるはず」と開催の意義を語った。
また、同本部の提案を受け、体育館の手配や新宿区との折衝などの実務を担ってきた新宿区教育委員会の野尻信江委員は、「多文化共生社会の象徴的な地域である新宿区で、このような意味深い行事が開催されることになって非常に嬉しく思っている。一過性で終わらず、続けて行けたらと思う」と運動会に対する期待を述べた。
運営事務局の李勲雨・東京韓学教諭も「土曜学校を担当してきた立場から、素晴らしい発想だと思う。体をぶつけ合いながら汗を流し、お互いを理解し合う貴重な体験学習になる。自然に国際人としての資質を備えていく」と力説した。
運動会は、午前10時に参加者たちの入場行進でスタートする。徒競走、綱引き、玉入れ、30人31脚、チェギチャギなど楽しい競技種目以外にも、東京韓学初等部の児童によるテコンドー演武、新宿区の日本人小学生の和太鼓演奏、大相撲の春日王関による相撲教室など、多彩な特別イベントも披露される予定。また、各界の協賛を得て、盛りだくさんの賞品をはじめ、子ども全員に参加賞が与えられる。
当日、全面的に協力した新宿区長の中山弘子さんも激励に訪れる予定だ。このイベントは、地域社会における在日と日本人住民との多文化共生に向け、新たな道標になるに違いない。
問い合わせは、大会事務局(℡03・3454・4166)
(2005.08.13 民団新聞)