掲載日 : [2005-08-15] 照会数 : 9269
<光復節60周年>金宰淑・中央団長 慶祝辞(全文)
親愛なる同胞のみなさん!
祖国光復60周年の歴史的な節目にあたり、同胞のみなさんとともに歓びを全身に受け止めながら、祖国に独立と雄飛をもたらし、民族の尊厳を輝かせる礎となられた愛国志士と先烈に対して、心からの敬意を表するものです。
光復節は私たちが心を一つにして、わが民族が不幸な歴史を二度と繰り返さない決意を新たにする日であり、祖国の平和統一と躍進、在日同胞社会の和合と発展を期する日でもあります。また、韓日の架け橋になるよう運命づけられた在日同胞にとって、韓日共生への意思を堅固にする日でもあります。
親愛なる同胞のみなさん!
60年の歳月は人間で言えば熟年期に当たり、韓日関係においても成熟さが求められるところです。韓日両国は国交正常化40周年の今年を意義深い「韓日・日韓友情年」に定め、伝統文化の競演や青少年交流など、官民あげたさまざまな交流事業を通じて友好善隣関係を拡大させようとしました。
しかし、突如として浮上した独島の領有権問題をはじめ、歪曲歴史教科書を中心とした歴史認識問題、小泉首相の靖国神社参拝問題などによって関係が一気に悪化し、交流事業が中止、または延期される事態に陥りました。両国関係が困難な局面に陥っている現状は、韓日共生を願う在日同胞にとって残念の極みと言わざるを得ません。
親愛なる同胞のみなさん!
愛国志士と先烈に思いをはせるとき、祖国が今も分断され、民族が分裂状態にあることに強い痛みを覚えます。北韓の南侵から始まった同族相殺の韓国戦争は、わが民族史最大の汚点であり、今も生死が確認できないおびただしい離散家族を生み出しました。北韓はその後も、自国民を犠牲にして核やミサイルの開発に走るなど、国際平和と人権に背を向ける姿勢を変えず、国際社会の指弾を浴びてきました。
しかし、同族である北韓は統一という民族の至上命題の一方の相手であり、私たちは民族全体の生存と繁栄、さらに世界平和のために恩讐を超えなければなりません。
1年近く閉ざされていた政府間対話の窓が開き、離散家族の再会をはじめ経済、軍事など各分野で南北関係は大きく進展しようとしています。北韓の核問題を解決するための6者会談も再開され、韓半島とその周辺地域に平和をもたらすべく模索が続いています。平和統一の偉業は一朝一夕に達成できるものではなく、今後ともさまざまな障害が現れるものと予想されます。平和繁栄政策を推進する本国政府と歩調を合わせ、平和統一運動に全力を傾注する決意です。同時に民団は、私たちが拠って立つ在日同胞社会において、朝鮮総連との和合の流れをより加速させなければなりません。光復60周年を機に、歴史と未来を共有する共同体の原点に返り、同胞社会を牽引する民団と朝鮮総連が中央機構レベルで手を携え、豊かで活力ある同胞社会を築き、祖国の平和と統一のさきがけとなるよう粘り強く真摯な努力を継続します。
親愛なる同胞のみなさん!
韓国国会は去る6月、定住外国人の地方選挙権を立法化しました。私たちが自尊心をもって生き、共生社会を具現する上で必要不可欠な地方参政権獲得運動にとって、一つの大きな進展と言えます。相互主義を反対理由に掲げた日本の一部保守派の口実は、これで根拠をまったく失いました。私たちは、各地の住民投票権付与の拡大と日本に先駆けアジアで初の立法化に踏み切った本国の英断を追い風にして、宿願実現にまい進していく所存です。
一方、過去の戦争を美化し、植民地支配を正当化する教科書問題を軸にした日本の歴史歪曲問題は、世界に巣立つ在日同胞や日本の子どもたちの将来のため、韓日両国が手を携えて東北アジアの安定と平和を創出するためにも、放置できるものではありません。在日同胞の結集した力と良心的な日本の市民運動の力によって、歴史歪曲を阻止していきましょう。
韓日両国は地政学的な位置からしても、善隣友好を宿命づけられています。韓日の架け橋を自負し、いかなる事態にも揺るがない友好関係を望む立場から、私たち民団は前途ある青少年のための「韓日未来月間」を設けるつもりです。解放と敗戦という韓日の歴史が交差する毎年8月を、未来志向の象徴となる月間に定め、文化・芸術、スポーツなどの交流と忌憚のない対話を通して、不幸な過去を乗り越え、現在を見つめ、未来に友情をつないでいきたいと思います。その真ん中ではもちろん、在日子弟が重要な役割を果たすでしょう。
親愛なる同胞のみなさん!
今年11月は、植民地支配が実効化された乙巳条約から100年になります。私たちの歴史認識を再構築するために、1世紀にわたる在日同胞の足跡を刻む「在日同胞歴史資料館」(仮称)を開設します。同胞の次世代や日本人に韓日の歴史に対する共通認識を育むマダンであるばかりか、地域に開かれた韓日共生のコミュニティーとして活用されるものです。同胞みなさんの物心両面にわたる支援を今後ともお願いする次第です。
来年が創団60周年となる民団は、生活者団体として同胞の法的・社会的地位向上に心血を注ぎ、同胞社会の指導母体としての地位を確立してきました。祖国と在日同胞社会の新たな飛躍のために、民団が担うべき課題は山積しています。光復60周年を新たな起点とし、在日100年の重みを背負う同胞たちの自己実現に向け、全力を尽くすことを誓いながら慶祝辞といたします。
(2005.08.15 民団新聞)