掲載日 : [2005-10-19] 照会数 : 9742
生活用品の韓流 橋渡し 在日2世・関さん夫妻
[ 大小さまざまのオンギ(かめ)山梨県増穂町の関さん夫妻自宅敷地のギャラリー「韓」 ] [ 「自分たちのレベルで韓国文化を伝えたい」と話す関勇・貞子さん夫妻 ]
生活用品の〞韓流〟ここに…山梨の在日2世・関さん夫妻が橋渡し
韓国国内で失われつつあるキムチや穀物などを入れるオンギ(甕=かめ)をメーンに2003年、山梨県増穂町平林の自宅にギャラリー「韓」をオープンした在日同胞2世の関勇(65)、貞子(62)さん夫妻。生活雑器や民具などを扱う一方で、韓国人作家などの作品も紹介している。30年前に日本国籍を取得はしたものの、韓国に対する愛着はそのままだ。「韓国の文化を発信したい」と話す2人の思いはますます強まっている。
オンギ1000個ずらり…民具や雑器の展示場も
関さん夫妻の自宅は目前に富士山を望み、裏手に櫛形山を背負う海抜約800㍍の山間にある。1000坪の広大な敷地に点在する、1000個を超す大きさの異なるオンギの風景に圧倒される。
2人が集めたオンギは新しいもので50〜60年前、古いものでは約200年前といわれる骨董価値の高いもの。ただし、数千円と手頃な価格のものもある。オンギを集め出したのは10年前。夫婦で行った勇さんの父親の故郷、全羅南道・順天市の骨董店に沢山のオンギが並べられていたのがきっかけだった。
貞子さんは「ぐるっと回りの家を見渡したら、ほとんどの家にオンギがなかった。ショックだった」と当時を振り返る。オンギはキムチや醤油、味噌などをいれるかめとして、各家庭には欠かすこのできない品物だったからだ。もともと田舎の佇まいや暮らしなどに興味のあった貞子さん。最初は趣味として、数年をかけて500個のオンギを集めた。その後勇さんも「韓国でなくなっていくものを集めよう」とオンギをはじめとする品々を集め続けた。
関さん夫妻が仕事の都合で、この地に移り住んだのは18年前。この間、友人たちが希望すれば譲ったりもしてきた。ギャラリーを始めたきっかけは、友人夫婦の「応援するからギャラリーをやれば」の一言。その時の思いは「この場所で自分たちのレベルで韓国文化を伝えたい」というものだった。
ギャラリーオープン前には、勇さんの還暦祝いに100人を招いて韓国舞踊や演奏を披露したほか、韓日共催ワールドカップサッカーの際にはサムルノリと神楽太鼓演奏なども行っている。
古民家の自宅にもオンギをはじめ、パンダチ(伝統的箪笥)や民具、生活雑器がさり気なく置かれている。自宅を開放したギャラリーは毎月10日間だけオープンする。その理由は、準備に時間がかかるため。
これまでポジャギや陶芸作品をはじめ、「韓国骨董家具・民具・雑器展」などの多彩な展示を行ってきた。また今年は韓日の歴史のつながりを学ぶための講演会を開き、韓国家庭料理のランチも始めた。
仕入れは年に数回、勇さんが韓国へ行く。貞子さんの「失敗もあるんですよ。でも買い物もしたことがないから当然ですね」の言葉に畳みかけるように、「仕入れてきたらいつも喧嘩です」と勇さん。
「文化の発信をしながら、一日でも長く『韓』を続けたい」。お客さんの喜ぶ姿を見るのが自分たちの喜び。大変でも頑張りたい」と張り切っている。
ギャラリー「韓」は毎月1〜10日11〜17時。入場無料。冬季休暇1〜3月。問い合わせは同ギャラリー(℡0556・22・6759)、FAX(0556・22・5612)。
(2005.10.19 民団新聞)