掲載日 : [2005-10-19] 照会数 : 11484
生活権獲得仕切り直し 合併自治体に要望
無年金給付金/公務員/参政権
「平成の大合併」が進み、最寄りの市町村の編入、新設が全国規模で相次いでいる。合併にともない懸念されているのが、社会福祉制度の適用をめぐる在日同胞の生活上の処遇面への影響だ。なかでも無年金高齢者と障害者への特別給付金に注目が集まっている。各地民団では合併を契機にさらなる福祉の向上を目指して新たな要望活動に取り組んでいる。
愛知など各地民団
総務省によれば全国で3232を数えた市町村数は編入や新市の誕生にともない6年間で2192に減った(11日現在)。減少は今後さらに進み、来年3月31日には1821になるものと見込まれている。
合併で新しい自治体が生まれれば、旧自治体が実施してきた無年金高齢者や障害者への特別給付金の支給にも大きな影響を及ぼす。新設自治体で制度がなければ創設が必要だ。これは地方公務員採用時の国籍要件撤廃でも共通している。民団側の働きかけによる〞整地作業〟が欠かせない。
各地民団では春先から合併自治体へ新たな要望活動を展開している。なかでも愛知県本部の取り組みは全国のモデルケースになるものと期待されている。
要望趣旨は①無年金定住外国人の救済②地方公務員採用③永住外国人の地方参政権付与、の3点。
特別給付金に関しては編入合併のときは制度の継続実施と支給増額を、新設合併では制度の早期実施を働きかけている。地方参政権では韓国が日本に先じて永住外国人への付与を決めたことをアピールしている。新たな取り組みは3日の清須市を皮切りにスタート。引き続き稲沢市、一宮市、豊田市を回った。19日には安西市を訪れる。
清須市は春日井郡の西枇杷島町、清洲町、新川町の3町が合併して7月に誕生したばかり。加藤静治市長は梁東一県本部団長や韓基成・新西支部支団長ら7人で構成した代表団を迎え、「前向きに取り組んでいく」ことを約束した。
民団中央本部の徐元国際局長は「愛知の取り組みには注目している。具体的な事例案として全国化していきたい。なかでも無年金がいちばん重要な課題だ」と話す。
(2005.10.19 民団新聞)