掲載日 : [2005-10-26] 照会数 : 11378
在日の人権民団から学ぶ…堺市職員
[ 鄭早苗さんの講義を聞く堺市の人権主担者たち ]
支部会館を会場に
当事者の声に衝撃も
【大阪】堺市は19日、民団大阪・堺支部(鄭鎬栄支団長)で「在日外国人の人権」をテーマに学習会を行った。これは来年4月の政令指定都市移行を前にした全庁一体となっての人権学習の一環。庁内240課の各課から選ばれた係長クラスの人権主担者24人が鄭早苗大谷大学教授の講演を聞いた。同市が人権問題で民団と協働・連携したのはこれがはじめて。
民団堺支部は市のまつりで朝鮮通信使パレードを再現するなど、市と密接な関係にある。このことが今回の人権研修につながった。
市の人権研修は、市の各相談窓口が本来の業務に加えて、市民にとっては最も身近な人権救済窓口になっているとの認識に立っている。担当職員の質的向上を目指して92年から始まった。これまでの研修修了者は延べ826人に上る。
今年の人権主担者研修は112人が対象でこれから3年計画で進める。この日はAグループ1・3・7班の人権班に所属する24人が研修を受けた。
講師は大谷大学の鄭早苗教授が務めた。鄭教授は古代に遡って堺市内にまつわる韓日関係史をひもといていった。近現代史では在日同胞が渡日せざるを得なかった背景を説明し、「在日外国人のなかでも旧植民地出身者の子孫と新渡日人、留学生や短期就労者を分けて考える必要がある」と行政側の意識改革を求めた。この後、民団堺支部の歴史やこれまでの取り組みなど、支部役員と活発な意見交換を行った。
研修に参加した職員は呉時宗監察委員長の「私の両親はパスポートなしで日本人として来た。私は日本人として生まれ、日本語を母語にして育ったのに、ある日を境に外国人とされた」との話に衝撃を受けていた。
「侵略者側と侵略を受けた側の視点の違いを学ばせてもらった」「本や映像ではなく、直接生の話を聞けてよかった。在日韓国人の思いというか、心が伝わってきた」と語る職員もいた。一部の職員からは民団支部での研修を継続していくよう市に提起したいとの声も出た。
市は人権施策を市の最重点施策のひとつとしてきた。3月には人権施策推進基本方針を策定し、在日外国人の人権をはじめ、同和問題や障害者の人権、高齢者の人権などを取り組むべき課題としている。
(2005.10.26 民団新聞)