掲載日 : [2005-10-26] 照会数 : 15323
<蔚山国体>在日、結束し3連覇の快挙
[ 3連覇を遂げ、カップを掲げる金昭夫選手団長(右)と許寧太体育会会長 ]
86回韓国国体海外同胞の部
【蔚山】蔚山市で開催された第86回全国体育大会(韓国国体)の閉会式が21日、蔚山広域市総合競技場で行われ、7日間にわたる熱戦の幕を閉じた。在日同胞選手団(金昭夫選手団長=選手役員111人)は、サッカー、テニス、ボウリングなどの海外同胞種目をはじめ、水泳などの一般競技と剣道の親善競技を含む12競技に出場。金5、銀3、銅2の合わせて10個のメダルを獲得し、15カ国の海外同胞で競う「海外同胞の部」で3年連続総合優勝を成し遂げた。来年の第87回大会は、慶北金川市とその一円で開催される。
天王山のサッカー 在米同胞を振り切り…劇的!!PKで勝つ
大会3日目の16日、海外同胞の部テニス男子シングルスの決勝が行われ、在日同胞の姜雅広が在豪州同胞に競り勝ち優勝、在日同胞選手団に今大会第1号となる金メダルをもたらした。これが総合優勝への号砲となった。
天王山のサッカー決勝は5日目の18日に行われ、在日は在米同胞と対戦。0‐0のまま決着がつかず、PK戦にもつれ込んだ末、4‐3で優勝を飾った。
試合は両者譲らず、拮抗が続いた。風上に立った後半、在日は15分過ぎから怒濤の攻撃を仕掛け、20分過ぎ、元昌勝のシュートをGKがはじいたところを金宏明が頭で押し込み、先制ゴールと思われた。しかし、オフサイドの判定でゴールは認められず、0‐0のままタイムアップ。準決勝に続くPK戦となった。
在日同胞を救ったのはやはり守護神、権諒一。前日に続き4人目、5人目と連続してシュートを止め、勝利をもぎ取る原動力となった。サッカーは昨年に続く2連覇だ。
ボウリングは総合2位
サッカーの活躍で、在日同胞選手団にその勢いが乗り移った。種目の中でも人気が最も高く、メダルの多かったのはやはりボウリング。17日に行われた女子3人戦で優勝したのをはじめ、女子5人戦の銀メダル、男子5人戦の銅メダル。特に20日の女子マスターズ優勝と女子3人戦の2冠王に輝いた朴祥子さんは素晴らしいフォームで圧倒的な強さを見せ、昨年2位の雪辱を果たした。ボウリングは総合2位も獲得した。
ゴルフは、期待は大きかったがニュージーランドやオーストラリアの進境著しく、メダル圏には入れなかった。団体戦5位、個人戦6位の入賞にとどまった。
一方、陸上高校女子100㍍、200㍍の劉紅美さんは決勝では惜しくもメダルを逃したが、両種目とも4位入賞を果たした。日本インター杯での優勝の経験もある劉選手にすれば納得のいかない成績だが、これまで韓国国体で在日が陸上トラックで上げた最高の記録。
また、水泳の高校女子400㍍自由形の金美沙さんは銅メダルに輝いた。800㍍にも出戦したが、惜しくも4位に止まった。射撃のトラップで千聖弘選手が5位入賞を、公開競技の空手の大学男子55㌔級で許清秀選手が金メダルを収めた。
■□ 母国でのプレーに感動 参加選手たち
今大会に参加した在日同胞選手の約半数は初出場だった。3世や4世が多く、初めて母国でプレーできたことを「今後の人生の大きな財産にしたい。もっと技術アップを」という声が多かった。
人生に役立てたい サッカーの李勉さん(30・横浜)
「ダイナミックな開会式にびっくり。大統領もじかに見られて感無量だ。韓国国体の規模の大きさと盛り上がりに驚いた。試合も全力でがんばった。ここでの出会いと経験をこれからの人生に役立てていきたい」
もっと自分をみがく 剣道の禹芙蓉さん(18・京都国際学園)
「民団新聞の選手募集を見て志願した。このようなすばらしい場にいることが信じられない。最大の目標だったインターハイに行けず落ち込む僕に、韓国国体出場のために東奔西走してくれた父に心から感謝したい。このようなすばらしい国体に参加できて幸せ者です。韓国の選手のようにハングリー精神を持って自分を磨いていきたい」
めざすは韓国代表 陸上の劉紅美さん(18・埼玉栄高校)
「韓国国体には初参加で緊張した。試合に負け悔しいですが、自分の弱点と不足している部分を見つめ直す良い機会となった。そしてすばらしい仲間たちと出会えたことを人生の財産にしたい。来年も是非参加し、必ず優勝したい。そして韓国代表として世界王者になりたい」
在日として責任感 ボウリングの金富夫さん(53・愛知)
「在日代表としての重い責任感を感じた。レベルの高い先輩たち、在日スポーツ界をになう後輩たちと約2週間をともに過ごせて、人間として、そして選手として成長していくことを実感できた。技術をさらに磨きもっと強くなり、また参加したい」
■□ 金昭夫団長「選手もっと発掘したい」
選手団長を故郷での国体で務めることができ、大変光栄だった。スポーツを通じて母国と同胞にふれあい、韓国人としてのプライドと喜びを覚えた。がむしゃらなこの子たちのプレーを見て、涙が出る思いだった。言葉なしに感動させてくれたスポーツは本当にいい。今後、一人でも多くの在日青少年スポーツ選手を発掘・育成し、母国の大舞台でプレーさせてあげたい。そのためにも体育会と民団が一体となって最大の努力をしていくべきだ。3年連続総合優勝という記録を果たした選手・コーチ、監督そして役員・副団長の皆さんの献身的な努力に感謝したい。
(2005.10.26 民団新聞)