掲載日 : [2005-10-26] 照会数 : 10777
民団が寄贈 共生の長丞…高麗神社に
[ 高麗の地に立つチャンスン。除幕を喜び、農楽隊も盛り上げに一役かった=23日、埼玉県日高市の高麗神社 ]
時空超え韓日結ぶ
【埼玉】渡来人と縁(ゆかり)の深い高麗神社(埼玉県日高市)に、韓国で制作された石造りの長丞(チャンスン)が建立され、その竣功祭・除幕式が23日、盛大に執り行われた。これは民団中央が韓日国交正常化40周年と韓日友情年を記念して寄贈した。民団の共生理念を込めた長丞は、古代と現代、韓国と日本が時空を超えて結ばれる高麗神社の、新たなシンボルになる。
この長丞は慶尚北道禮泉郡の長丞マウルで、彫刻家・金壽浩氏が1本それぞれ8㌧の花崗岩から2カ月かけて制作した。第2鳥居近くの特設スペースに、左に天下大将軍、5㍍の間隔をあけて右に地下女将軍が、地上部の高さ5㍍、直径70㌢の堂々たる風貌で立つ。
その長丞を前に行われた式は、「修祓の儀」から「昇神の儀」まで高麗文康禰宜を斎主に厳かに進行した。金宰淑中央団長、関東地協の李時香事務局長(東京本部団長)、埼玉本部の鄭平普団長など民団・傘下団体役員や公館関係者、長丞寄贈事業を支援した民主平統日本地域会議の金龍濤東部協議会会長のほか、地元選出の県議や市議、日高市役員らが参席し、羅鍾一駐日大使や高麗澄雄宮司が見守った。
この日はちょうど、「10月マダン埼玉民団祭」が行われるとあって、高麗神社には地元団員はもちろん関東各地の団員がバスを仕立てて来場しており、多くの参拝客や駆けつけた地域住民らとともに、式場を囲むように人垣をつくった。また、30余人で構成された民団埼玉の農楽隊が、式次第に合わせて演奏を行い、祝祭ムードを盛り上げた。
式に参席した白眞勲参議院議員は、「高麗の里を切り開いた渡来人も、晴れ晴れとした気持ちでいることでしょう。チャンスンは日韓友情の証として多くの人に愛されると思う」と語った。金中央団長とともに、「玉串を奉りて拝礼の儀」に代表で臨んだ小谷野五雄県議は、「在日の方の努力で素晴らしいものができて嬉しい。韓国とのいっそうの友好に努力したい」と述べた。
高麗神社の主祭神である高句麗の高麗王若光が、渡来人集団の長として高麗郡に赴任したのは716年。同神社では2016年に向けて「高麗郡建郡1300年記念事業」を推進中だ。
第60代宮司に予定されている文康禰宜は、「石なので半永久的に高麗神社に立ち続け、住民に親しまれることでしょう。このことは日韓関係の永続的な発展を象徴します」と話し、「立て替えようと思っていた矢先だけに、自ら資金を捻出して奉納してくれた在日の人たちに感謝したい」と強調した。
民団が92年に寄贈した木製の長丞は、事故で破損し腐食した。花崗岩の新しい長丞は、時が経つにつれ味わいが醸し出されるという。
(2005.10.26 民団新聞)