掲載日 : [2005-11-09] 照会数 : 9714
総連同胞の墓参事業30周年…瞼の故郷へ
[ 水原市の民俗村で「懐かしい」と話す総連傘下同胞の母国訪問団=11月2日 ]
総連同胞の墓参事業30周年…
瞼の故郷へ5万570人
今なお続く涙の再会
【ソウル】解放後、祖国分断と韓国戦争の勃発などによって祖国への帰還を果たせず、南北対立構造の中で故郷を訪れることも、肉親と再会することもできなかった朝鮮総連傘下の同胞たちを対象に、民団が人道的立場から推進して来た墓参団事業(現在は母国訪問団)が30周年を迎えた。75年9月11日に初めて実施されて以来、1世から4世まで5万570人の総連系同胞が母国を訪問している。
総連傘下の1世同胞たちにとって、この事業は長い間、懐かしい故郷の土を踏み、離別した肉親と再会を果たす貴重な機会だった。この事業はまた、今日では当たり前になった民団と総連の交流や、同胞の生活権を守るための各種共同活動を可能にする基盤を整え、南北和解、同胞和合の先鞭をつけたものとして、その歴史的意義も不動だ。
現在は春秋の年2回実施している。30周年の節目となる今年度秋季訪問団は、15人が参加して1日から4日までの日程で行われた。3泊4日の期間中、ソウル市内、民俗村、独立記念館、望郷の丘、ポスコ(旧・浦項製鉄)、慶州などを訪問し、母国の発展と文化を肌で感じた。
山口県から参加した1世のハルモニ(83)は、「死ぬ前にどうしてもと思った」と語り、60年前に故郷を出て以来、初の母国訪問となった秋田県からの参加者は、ソウルの発展ぶりに驚き、民俗村でワラ葺の民家を見て「懐かしい」と目頭を押さえた。また、数10年前の戸籍謄本を頼りに親戚を探し出したいと参加した同胞は、関係者の協力によって無事に探し当て、故郷で再会を果たした。
涙の再会は今も続いている。総連同胞の韓国訪問の門戸が広がったことで、参加者数は漸減傾向にあるとはいえ、民団の母国訪問事業の持つ意味はなお大きい。
(2005.11.09 民団新聞)