掲載日 : [2005-11-16] 照会数 : 7174
内閣府に規制改革要望 外国人集住都市会議
[ 子どもの未来を探るパネルディスカッション(「外国人集住都市会議よっかいち2005」) ]
就労、社会保障、教育など…市民的権利拡充へ
【三重】南米から移住してきた外国籍住民を多く抱える日本全国の主要17都市で構成する「外国人集住都市会議」(座長都市、三重県四日市市)は四日市市で開いた会議で8項目からなる規制改革要望書を採択し14日、内閣府に提出した。同会議はこれまでも外国人住民の権利擁護を共通課題に掲げ、各種「宣言(提言)」を採択してきたが、従来よりもさらに踏み込んだ形で施策の充実を迫った。
「規制改革要望」の柱となっているのは「外国人に対する総合的な政策推進体制の整備」だ。具体的には外国人政策に関する政策を一元的に担当する「外国人庁」あるいは「多文化共生庁」の設置が中心。
これら集住都市では、ニューカマーを同じ地域で同じ時間空間を共有する生活者、市民として迎え入れようとしている。これまでも先進的な取り組みを行ってきたが、外国人の就労と社会保障、教育などの分野ではどうしても制度上の問題にぶつかる。このため、11日の四日市市会議では「税金を払わせ、市民としての権利は認めていない。これで多文化共生社会が実現するのか」といった国へのいらだちの声すら出た。
自治体と国の確かな連携なくして外国人施策の前進はない。にもかかわらず、国の外国人施策といえば出入国管理だけだった。集住都市の各首長からは「地域における外国人施策を出入国管理と並ぶ国の施策の柱の一つとして確立する時期に来ている」との声が高まっている。「規制改革要望」が採択されれば、法律に基づき政府から正式な回答を得られるだけに、集住都市会議の寄せる期待も大きい。
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多文化共生案検討急ぐ…総務省
総務省は今年から「多文化共生推進プラン」の検討に入っており、来年3月には具体案を発表するという。文部科学省も各市町村教育委員会が日本の小中学校に在籍する外国人児童生徒の就学を支援するための実践研究を支援する方針を打ち出している。「外国人児童生徒の教育は義務教育ではありません」としてきた従来の対応からは大きく様変わりしている。
また、経済財政諮問会議でも6月、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針05(原案)」を発表。この中で従来、政府が主張してきた「海外からの単純労働者受け入れ拒否」の姿勢を大きく軌道修正している。
こうした最近の動きは外国人集住都市会議が繰り返し主張してきた「国として外国人労働者の受け入れを明示し、これへの対応を国として考え、地域社会が外国人労働者と共生していくため必要となる具体的施策の実施と方向性を示すべきだ」との要望に呼応する。
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外国人集住都市会議
ニューカマーと呼ばれる南米日系人を中心とする外国人市民が多数居住する都市の行政、ならびに国際交流協会などで構成。01年5月、浜松市で正式に発足した。同年10月、外国人集住都市公開首長会議を浜松市で開催し、外国人住民との地域共生に向けた「浜松宣言及び提言」を採択した。02年には東京で「14都市共同アピール」を行った。04年の豊田市での会議では「豊田宣言及び部会報告」を採択。いずれの宣言についても関係省庁に申し入れしている。
(2005.11.16 民団新聞)