掲載日 : [2005-11-16] 照会数 : 8597
朝鮮通信使行列…蔵造りの街で「唐人揃い」復元
[ 小江戸・川越の幸町を練り歩く「唐人揃い」の一行 ]![](../old/upload/437ac65481f6f.jpg)
市民団体が実行委
【埼玉】埼玉県川越市の蔵造りの街を13日、朝鮮通信使行列が150年ぶりに練り歩いた。これは江戸時代の川越祭り(川越氷川神社祭礼)で、実際に行われていた「唐人揃い」を復元したもの。沿道600㍍を埋めた約6万人の観客(警察発表)は、華麗な朝鮮朝絵巻を堪能した。
総勢400人華麗な朝鮮絵巻
沿道に観客6万人…川越市
小江戸と呼ばれ、城下町の面影をたっぷりと残す川越市は、観光スポットとして根強い人気がある。国の重要無形文化財に指定されている川越祭りは江戸時代末期まで、この唐人揃いが人気練り物だった。
通信使が通過した各地には、それにちなんだ祭りが残っている。しかし、川越には一度も立ち寄っていない。川越の豪商が江戸まで通信使の見物に行ってその豪華さに圧倒され、地元で仮装行列として再現したのが唐人揃いだ。多彩な祭り文化を持つ日本でも異色の存在だった。
これを復元する原動力になったのが、「埼玉・コリア21」(江藤義章代表)など、外国人差別を許さず、共生社会を実現しようと活動する市民運動団体だ。「復活!朝鮮通信使《唐人揃い》国際交流・多文化共生パレード」実行委員会を構成し、これに川越市や県、川越氷川神社、高麗神社と並んで民団・総連の埼玉県本部などが後援、パレードには約400人が参加した。
好天下の沿道は、農楽隊のリズムに踊り出す人やにわかカメラマンなどでごった返した。正使、副使、従事官など4種類、20着の衣装は韓国一流の伝統衣装家が復元したものだけに、多くの女性がテレビ・ドラマの「テジャングム(大長今)と同じだ」と歓声を上げた。副使役で登場した景民杓・民団埼玉本部副団長は、服装について質問攻めに合っていた。
地元の刀剣専門古物商は「珍しい行列を楽しく拝見した。随分写真も撮った」と語り、30代の日本人女性は「偉い人のレベルではなく、庶民の交流が大切なんですね」と声を弾ませた。「ワンコリア」の旗の下に、総連同胞とともに行進した洪栄基・民団西部支部副団長は、「ケンカの歴史ばかりで、仲良くした歴史は教えてもらっていない。こんな素晴らしい催しをありがとう。学校でもどんどん教えて欲しい」と興奮した面持ち。
蓮馨寺境内で行われた打ち上げでは、参加者全員でアリランを合唱し、来年以降も継続することを確認した。パレード実現に中心的役割を果たした江藤代表は、「観客と参加者が心を通わせ、国籍と民族を超えて一緒になって生きていく楽しさを表現できたと思う」と述べ、「さらに規模を拡大していきたい」と意気込んでいる。
(2005.11.16 民団新聞)