掲載日 : [2005-11-30] 照会数 : 12695
<この人この顔>趙靖芳さん
[ 趙靖芳氏 ]
大ヒット中「ゆっくり長く泳ぎたい!」シリーズの著者 趙靖芳さん
泳ぐ楽しさ祖国にも
民団に勤務しながら、執筆活動を続ける在日3世の趙靖芳さん(35)。先日、クロール編、平泳ぎ編に続き、シリーズ5冊目となる「ゆっくり長く泳ぎたい!背泳ぎ&バタフライ編」(学研)が出版された。初心者でも少ない力で長く泳げる独自の水泳理論は、人気の健康雑誌『ターザン』に掲載されると大きな反響を呼び、著書「ゆっくり長く泳ぎたい!」シリーズは、スポーツ実用書の分野では異例の5万部を超える大ヒットに。
喘息を克服するため、7歳のときに近所のスイミングクラブに入会した。負けず嫌いな性格で猛練習を続け、小学校6年生の時に近畿大会で優勝、全国大会で上位入賞したことで、在日大韓体育会に勧められ韓国の国体にも出場した。200㍍背泳で金メダルを獲得し、当時の韓国の小学生記録も樹立した。
その後、水泳界の名門である日本大学水泳部に入部、卒業後はアシスタントコーチとして、卓越した指導法で数多くのオリンピック日本代表選手を育成してきた。
多くの読者から支持を得た理由は、今までの概念をくつがえす、まったく新しい泳ぎ方にある。トップ選手を育成しながらも、数千人にのぼる小中学生を指導してきた経験の中から、スピードを競う競泳ではなく、もっと多くの人が気軽に楽しめる、万人のための泳ぎ方を提唱してきた。
「小学生だった自分に、韓国の国体出場というチャンスを与えてくれた『在日』の存在に感謝している。先輩方に育てられたおかげで今の自分がある。今度は僕が在日の子供たちに何かを与えられる存在になれれば」
「韓国は学校水泳が普及していないことから、いまでも泳げない人が多い。祖国で水泳の楽しさを広めることができたら最高です」
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趙靖芳
1970年大阪生まれ。日本大学文理学部卒業。現在、民団中央本部文教局に勤務。オリニジャンボリーや、中・高校生の夏季学校など、次世代育成事業に力を注いでいる。
(2005.11.30 民団新聞)