掲載日 : [2005-12-07] 照会数 : 8523
在日脱北者の心の拠り所に 民団支援センター
[ ボウリングは参加者のほとんどが初体験 ]
交流と情報交換の場提供
同胞の情愛で自立手助け
「地上の楽園」の夢破れ、命からがら北韓から日本にたどりついた元在日同胞を支援しようと、民団が「脱北者支援民団センター」(呂健二センター代表、中央本部副団長)を設立してから今年で3年目。日本社会への適応問題など、多くのハンディを抱える脱北元同胞たちにとって、大きな心のよりどころとなっている。
設立から3年を経過
支援ボランティアも連携強化
支援センターの役割は脱北元同胞の日本での自立を手助けすること。住宅や就職先を斡旋し、当座の生活支援も行っている。中でも東京と大阪で各6回ずつ開いてきた「脱北者交流会」は、慣れない生活環境のなか、ともすると孤立しがちな脱北元同胞たちが仲間との旧交を温めると同時にさまざまな情報交換の場となっている。
4日の関東地区交流会は都内のボウリング場を会場に行われた。会場ではピンが倒れるたび歓声が上がり、手を叩きあった。あたかも北韓での過酷な生活でしばし忘れていた青春を取り戻したかのような喜びにあふれていた。側で見守っていた呂代表も「少しは気晴らしになったのでは」と笑みを浮かべていた。
ある日本人妻(68)は「ボウリングは生まれて初めての体験。過去4回の参加のなかではいちばん楽しかった」という。
「支援センター」と提携関係にある日本のNGO、北朝鮮難民救援基金の加藤博事務局長は「脱北者にとって心のよりどころがあるということがなにより大事。民団が一生懸命、交流会を開いてくれることで輪が広がりつつある。これからも継続してほしい」と期待をかけている。
ボランティアで支援センターと行政との橋渡し役を果たしている区役所職員、水野精之さんは、「日本でアパートを探したり、自動販売機の使い方まで行き届いたケアができるのは、日本で長い間苦労してきた同じ在日だからこそ。日本の行政にはそこまで望めない。民団は本当によくやっている」と話す。
脱北同胞の目下の懸案は就業問題だ。北韓で生まれ育った2世がとくに大変だ。職を得るには日本で義務教育を終えていることが求められる。そのため、支援ボランティアらは夜間中学への編入を勧めている。「4年かかるけれど、3年に編入すれば1年で終わる」(呉崙柄さん)。
会場を移しての懇親会の席で呂代表は「困ったとき、辛いときはできるだけ相談にのる」とあらためて参加者を激励した。事務局を担当している金哲三さんは「この3年間で脱北者間はもとより、協力者同士でも関係が強化されつつある。地道に交流会を続けてきたかいがあった」と述べ、在日同胞と日本人のさらなる理解と協力を呼びかけている。
支援センターの募金口座は▽あすか信用組合恵比寿支店 普通預金055465 脱北者支援センター 河政男(ダッポクシャシエンセンター ハジョンナム)▽郵便振替 口座番号00150‐5‐546257脱北者支援センター
(2005.12.7 民団新聞)