掲載日 : [2005-12-14] 照会数 : 7990
兄に続け・兄弟弁護士誕生へ 倉敷出身の在日3世
尹徳秀さん '05司法試験に合格
【岡山】在日3世の尹徳秀さん(31)=岡山県倉敷市=が、一足早く東京で弁護士業務に就いている兄の徹秀さん(39)=J&K法律事務所勤務=に続き、日本の司法試験に合格していたことがわかった。司法修習生として1年6カ月にわたる研修を終えれば、兄弟の同胞弁護士が誕生する。在日社会では初めてのケースとみられている。
父親「未来へチャレンジを」
05年度の2次試験合格者が10月7日、法務省から発表された。受験者数3万9428人のうち、最終合格者数は1464人で受験者数に占める合格率は3・71%だった。ここ数年、合格者の枠が広がったとはいえ、相変わらずの狭き門だったことがうかがえる。
徳秀さん合格の吉報は岡山県に住む父親の信雄さんから真っ先に長男の徹秀さんのもとにもたらされた。徹秀さんも「うれしかった」とわがことのように喜んだ。
徳秀さんは4人兄弟の次男。長男の徹秀さんが就職せず一貫して司法試験突破を目指したのに対し、次男の徳秀さんは多少回り道をしたようだ。法政大学法学部を卒業すると、いったんは家業を継ごうと電機大学に入学しなおした。しかし、しばらくして「なにか物足りなさ」を感じ、「兄と同じ道を進もう」と考え直した。信雄さんも徳秀さんの自主性を尊重し、陰ながら応援してきた。
一方、徹秀さん自身は司法試験の厚い壁を身にしみて感じていた時期だった。一緒に受験勉強をし、競い合うのはやりきれないという思いもあったようだ。「相談されたらやめろと言った」と当時を振り返る。しかし、徳秀さんは信雄さんも驚くという集中力で兄に続き、合格した。
徳秀さんは大変な負けず嫌いだったようだ。兄弟でプロレスの真似ごとをしたときのこと。8歳年上の徹秀さんが攻勢に出ても、徳秀さんは最後までギブアップしなかったという。兄へのライバル意識も合格への原動力になったのだろう。
徹秀さんは「父は必死に働き、僕たちを育ててくれた。そうした両親の背中を見て育ったからでしょうか。ちょっと頑張らなければと思った」と語る。この思いは徳秀さんも同じだったようだ。徳秀さんは「弱者を救う弁護士として兄とともに地道に頑張っていきたい」と語った。
信雄さんは「在日社会には実力も才能もあるのに韓国人だからとあきらめている人が多々いると思う。そういう3・4世に少しでも励みになれば」と話している。
(2005.12.14 民団新聞)