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 韓国で視聴率50%を超すドラマがある。「野人時代」だ。日帝時代、韓国最大の繁華街、ソウル鍾路一帯を君臨した伝説の男、金斗漢氏を描いた実録だ。

 金斗漢の名は韓国の近代史においてあまりにも有名だ。独立運動のひとつ、「青三里戦闘」を勝利に導いた「独立軍」総司令官、金佐鎮将軍の息子だ。

 祖国独立という父の遺志を胸に、物乞いからチュモク王(博徒の親分)にはい上がり、鍾路を守る為、日本のヤクザや親日派などと素手だけで戦っていく。筋も通せば義理も固い。弱きを助け強きを挫くいわば韓国版「清水の次郎長」のような男だ。

 55歳という若さで他界するが、晩年の国会議員時代、三星財閥のサッカリン密輸事件を正す為、パコダ公園のトイレで汲んだ汚物を国会発言台でばらまく、いわゆる「国会汚物投擲事件」の張本人だ。

 「野人時代」の人気は、社会現象にもなっている。放送日に帰宅が早くなったサラリーマンや、オフィス街近辺の居酒屋や駅の待合室などでは金斗漢の活躍ぶりをW杯の時のように応援する「観賞会」も登場した。

 「将軍の息子」など、氏を描いた映画は過去9作ある。富川市には日帝当時の鍾路一帯を再現した撮影所が作られ見学ツアーも人気だ。いつの時代も若者たちで賑わう繁華街の聖地、「鍾路」がますます好きになってしまった。

(J)

(2002.12.11 民団新聞)

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