掲載日 : [2006-01-18] 照会数 : 5402
<この人この顔>尹イノさん
[ 尹イノさん ]
韓国映画「僕が9歳だったころ」の監督 尹イノさん
切ない出会いと別れ
91年に韓国で出版されて以来、130万部のベストセラーになった小説『9歳の人生』(河出書房新社)が映画化され、日本でも公開される。
70年代の慶尚道を舞台に、出会いと別れ、嫉妬と裏切り、挫折を経験しながら、一歩ずつ大人の階段をのぼり始める子どもたちの物語。キャッチコピーは「少年少女版冬のソナタ」。胸が切なくなる純愛と友情で貫かれている。
撮影で苦労した点は、子どもたちの成長の早さだ。声変わりをするし、服が合わなくなってきたりする。演技経験がほとんどない小学生に、いかに自然な演技をさせるか。もともと子ども好きな監督は4カ月間、寝食をともにし、一緒になって遊びながら打ち解け、信頼関係を築いた。
体罰のシーンも強烈だ。かつて韓国では「よく殴る先生がいい先生だ」というイメージがあり、うさ晴らしのように自分も殴られたという。「先生も軍国主義時代の犠牲者だった」とさめた目で批判しつつ、「誰もがたどってきた9歳の頃に戻ってほしい。きっと癒されるでしょう」と、この映画の魅力をアピールした。韓国で公開後、子どもたちのその後を描いた続編を望む声が多く届いた。「追憶はきれいなもの。夢は壊さないほうがいい」とクールに受け流している。
作品は2月4日から東京・シャンテシネほか全国で順次ロードショー公開される。
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尹イノさん
63年釜山生まれ。米カリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)でフィルム&ドラマ課程を修了。94年パラマウント社に助監督として入社し、『アポロ13』などでキャリアを積む。帰国後、社会派作品『バリケード』で監督デビュー。
(2006.1.18 民団新聞)