掲載日 : [2006-02-01] 照会数 : 7403
歴史資料館は貴重な学習の場 団体相次ぐ
[ 熱心に見学するメイプルセンターのメンバーたち ]
初の日本人グループも
開館から2カ月を迎えた在日韓人歴史資料館に、在日同胞や韓国人留学生などの団体観覧が相次いでいる。先月27日には初めて、日本人の団体来場があった。資料館は、日本人にとっても貴重な歴史学習の場として認知されつつあるようだ。
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「在日の血を実感」韓国系日本人3世が語る
日本人団体観覧客の第1号となったのは、東京都品川区が地域の文化創造活動の拠点を目指して設立した(財)品川文化振興事業団が運営する施設の一つ、メイプルセンターだ。
同センターは、カルチャー講座、音楽コンサート、講演会などさまざまな文化・教養講座を持っている。今回の歴史資料館見学は、同センターが年に4回行う定期企画の中の一つで、「韓国文化を知りたい」というカルチャー講座の一環。定員の12人を超える17人が参加した。
昨年4月、韓流ブームとともにスタートした韓国語講座のメンバが主軸になる同見学団の世代別構成は40代から60代が多く、性別では8対2で女性が多い。
同メンバーの一員として参加した在日3世の金岡真由美さんは、「父の代に日本に帰化したので、韓国系日本人として生きている。展示物を通して自分にも韓国人の血が流れていることを実感した。ここからは在日を正しく理解してほしいという思いが伝わってくる」と感無量の面持ちで語っていた。
自分を「昭和15年生まれの戦前世代」と紹介した曽根みち子さんは、「在日の歴史を初めて知った。教科書には在日についての記述がないし、正直に驚いた。知らないでは通らない。良かれ悪しかれ事実を知ることで理解が始まる」とやや興奮気味に述べた。
「われわれ日本人は韓国や在日のことを知らなすぎる。特に植民地時代の悲惨な状況に関しては誰も教えてくれない。年配の私がこうだから、今の若い世代は言うまでもない」、「解放後、祖国に戻りながらもそこでは住むことができず、密航でやって来ざるを得なかった人の行為に複雑な思いがする」、「指紋押捺反対運動のデモ光景をニュースで見た覚えがある。当時はなぜ在日韓国人があんなに騒ぐのかと思った。彼らの闘いに、今は心を引き付けられるようだ」とそれぞれ感想を語った。
メイプルセンターで企画を担当している長瀬洋子さんは、「講座が人気を得ているので、今後も韓国語はもとより、日本で生活している在日の方の経験も含めて、韓国の歴史や文化に理解を深めてもらうような講座をつくっていきたい」と語った。
(2006.2.1 民団新聞)