掲載日 : [2006-02-22] 照会数 : 8613
オモニ見てくれましたか 五輪モーグル銅のドーソン
[ 「養父母とスキーが僕をまともな道に進ませてくれた」と話すドーソン選手 ]
釜山で幼時捨てられて 養子縁組で米へ
イタリア・トリノのサウゼドルクスで15日に開かれたフリースタイルスキー男子モーグルで、米国人夫婦と養子縁組した韓国系のトビー・ドーソン(28)が、豪快なスピンで宙を舞い、銅メダルに輝いた。
ドーソンは試合後の会見で「私を産んだ母親が韓国でテレビを見ているかも知れない」と心境を語った。ドーソンは、幼いころ、韓国・釜山の警察署の前に置き去りにした産みの親を以前から捜している。
釜山の児童擁護施設で暮らしたが、3歳になった1982年、米・コロラド州でスキー講師をしていた米国人夫婦の養子になり渡米した。12歳のときに養父母がスキーを教え始めた。10代のころはアイデンティティーの問題で悩んだこともあったが、スキーによって乗り越えてきた。ドーソンは養護施設で付けられた名前「スチョル」をミドルネームに「トビー・スチョル・ドーソン」と名乗り、故国を忘れることはなかった。
五輪「銅」の会見のひな壇の上から、義母デボラさんと恋人のリアさんを見つけ、「本当に感謝している。養母は私を愛し、スキーと出会わせてくれた」と話した。
デボラさんはドーソンの少年時代を振り返り「コロラドに来たころは毎夜、韓国語で泣き叫んでいた。シャイな性格で家に引きこもっていたけど、人と会ったらハローと声を掛けなさいと話したの。いろいろなスポーツをしたお陰で、こんなに元気になったのよ」と息子に抱きついた。2人は人種は違っていても、実の親子以上の絆で結ばれている。
韓国では、ドーソンの姿をテレビで見て、自分が本当の母だと名乗り出ている女性が何人かいるが、米オリンピック委員会(USOC)のホームページを通じて産みの親を捜しているドーソンは「ゆっくり慎重な手続きを踏んで両親を捜したい」と話している。
(2006.2.22)