掲載日 : [2006-03-15] 照会数 : 9106
童謡でつなぐ韓日の心 Ryuさん日本各地でライブ
[ 子どもも大人も楽しんだコンサート=2日東京
] [ 情緒豊かに歌うRyuさん ]
きれいな夢を歌で…子らの絆で平和築こう
親から子へと歌い継がれてきた韓国と日本の童謡を収録したシンガー・ソングライター、Ryuさん(31)のニューアルバム「おとぐすり」(日本クラウン)が8日に発売された。2日には国際交流の一環として、東京・町田市の玉川学園チャペルで開かれた幼稚部コンサートで、園児・保護者320人余が情緒豊かなRyuさんの歌声を楽しんだ。「童謡で自分の心も癒やされた」と話すRyuさんの思いを聞いた。
「リュウおにいさーん」。チャペル内に響きわたる園児170人の元気な声に迎えられて、舞台に立ったRyuさん。韓国語の「アンニョンハセヨ」の呼びかけに、園児たちも負けじと韓国語であいさつを交わした。
この日、Ryuさんは韓国の童謡「果樹園の道」をはじめ、日本の「みかんの花咲く丘」「赤とんぼ」などを披露。「ゆりかごの歌」を歌った後、園児たちに「家に帰って寝かせてもらうとき、この曲を歌ってと言って下さい。綺麗な夢が見られるかもしれないですよ」と優しく語りかける場面もあった。
Ryuさんが大勢の子どもたちを前にして歌うのは今回が初めて。そわそわ落ち着かない園児たちに向かって、「話を聞いて下さーい」と遠慮がちに語りかける姿に、会場のあちこちから笑い声があがるなど終始、和やかな空気に包まれていた。
コンサート後、感想を尋ねると「こういう環境で歌ったことがなかったから緊張しました。私、歌いながら笑ったりしないんですよ。私に目線もくれない子もいたけど、でもそれが純粋に見えた。子どもたちに今日の記憶が大人になるまで残ると思うと、幸せに感じます」と笑顔で答えた。
2005年4月からNHK教育テレビ「アンニョンハシムニカ ハングル講座」内のコーナー「韓国の童謡名歌」で毎回、心温まる曲を紹介してきた。そして、その間に聞いてきた日本の童謡が、韓国の童謡と「言葉や意味、平和な雰囲気を感じるところなどが似ていると思ってびっくりしました」と話す。
童謡を歌うときには歌詞の言葉遣いや調べを自分のなかで消化するという。「その歌詞の内容にもっと広い意味が込められているように感じるときが多いので、作詞家の立場で考えてみます。これだけの意味だけではなかったんだろうと、いろいろ想像しながら歌うようにしています」
アルバムタイトルの「おとぐすり」は、ファンクラブの名称でもあるが、自らも「童謡によって心が癒やされた」と話すように、両国の童謡が国境を越えて、多くの人たちの「音の薬」になればとの思いから付けられた。
Ryuさんの夢は世界平和だ。これまで日本の各地を回り、多くの人たちとの触れ合いによって、それまで心に抱えていた見えない壁が消えていった。「私が感じたことを、以前の私みたいだった人たちに向かって伝えたいという気持ちがあります」
そして「本当に大事なのは政治家たちができないことを、これから韓国や日本の子どもの皆さんが自然に飛び越えて、世界人としての心や考え方を持てること。皆さんに早くそれを感じられるようにしないといけないという使命感があります」と熱っぽく語る。
7日の福井県を皮切りに、全国14カ所で開かれるRyu・ライブ2006「おとぐすり」では、両国の童謡を中心にオリジナルも織り交ぜる。これまで以上に深みを増した、Ryuさんに出会うことができそうだ。
(2006.3.15 民団新聞)