掲載日 : [2006-04-05] 照会数 : 9338
知られざる靖国に驚き 映画「あんにょん・サヨナラ」
反響広がるドキュメンタリー映画「あんにょん・サヨナラ」
自主上映全国40カ所で 東京、大阪でも7月 劇場公開
靖国神社をテーマとした韓日共同ドキュメンタリー映画「あんにょん・サヨナラ」(金兌鎰・加藤久美子共同監督)が静かな反響を呼んでいる。昨年9月に完成して以来、口コミで評判が広がり、3月末までに全国40カ所以上で草の根レベルの自主上映が実現した。7月には東京と大阪での劇場上映が決まっている。
映画は靖国神社を相手取って合祀取り下げ訴訟を起こしている韓国人遺族、李熙子さんの視点から靖国神社がどういう意味を持つのかを問いかけている。一方、太平洋戦争参戦者ら加害者の立場からも靖国神社を浮き彫りにしており、バランスを取っている。
日本人一般には「戦没者を祀っている神社」との認識が一般的だが、アジアの中でどういう意味を持つのかは、意外と知られていないようだ。観客はこれまで報道されていない靖国神社の歴史や背景を知り、「びっくりした」という感想を語っている。こうした傾向は若い観客ほどストレートで顕著に現れている。
日本側共同監督の加藤久美子さんは「靖国を批判的に描いてはいるが、決して一方だけの主張を押しつけているわけではない。歴史認識のくびきを乗り越え、両国の友好関係を築いていくにはどうしたらいいのかを視点に制作した。なにかしら考えるきっかけになったら」と語っている。
昨年10月の山形映画祭を皮切りに全国で上映活動が始まった。1回の上映で平均して50人前後の観客が集まる。多くても150人ほどだ。それでも自主上映が途切れることなく広がっているのは、口コミの威力だ。一度映画を見たり、評判を聞いた市民が地域で自主的に上映会を組織している。3月2日には民団長野県本部で上映した。
7月は8日から東京・中野のポレポレ座、15日からは大阪のシネターボでも劇場上映される。上映会に合わせて韓国から李熙子さんをゲストに呼び、トークイベントも予定している。また、韓国ではこれまで全国7カ所で自主上映された。今後も2,3年かけて上映活動を続けていく方針。
同上映委員会では自主上映開催の希望を募っている。問い合わせ先は℡03・3403・1902。
(2006.4.5 民団新聞)