掲載日 : [2006-05-10] 照会数 : 13883
訪韓修学旅行の先駆者 細田学園高校
[ 韓国の学生と交流した昨年の修学旅行 ]
体験交流で隣国理解
両国の歴史重んじる心培う
細田学園高等学校(細田早苗校長)=埼玉県志木市=の訪韓修学旅行生徒数が今年29年目で1万人の大台を突破した。同校は78年から毎年春に韓国への修学旅行を実施している。韓国への修学旅行実施校のなかではパイオニア的な存在だ。今年は3月31日から4月27日まで3回に分けて計215人を送り出した。
29年目で1万人突破
細田学園では韓国修学旅行を「国際体験学習」と位置づけ、高校1年生の時から韓国の歴史、文化、風俗、言葉など事前学習をみっちり行う。生徒たちは未知の国への旅を前に好奇心と想像力をふくらませ、3年になっての出発に備える。
好評なのは現地での生きた体験交流だ。慶州ナザレ園では年老いた日本人妻の境遇に涙しながら一緒に日本の「富士山」や「春が来た」を合唱し、手を取り合って懐かしい「茶摘み」遊びにも興じてきた。
韓国国内には姉妹提携校が7校ある。訪韓時には各校の間で夕食会を兼ねた交流会を実施している。生徒たちはお互い知りうる限りの韓国語と英語の単語を総動員し、身振り手振りも交えながら芸能情報を交換するなどして盛り上がっている。 独島問題で韓国国民の反日感情に一抹の不安を抱いて訪韓した生徒も「韓国で出会った人たちは私の想像していたものとはまったく違っていました。韓国の方々の温かさを肌で感じて、いままで韓国に対して持っていた偏見を捨て、広い視野を持てました」と感想文に書いている。
細田学園は毎年1月、同校で実施する「冬期セミナー」に韓国の姉妹校から短期留学生を受け入れているだけに、思いがけない再会を喜び合う光景もしばしば見られる。
韓国での出会いは生徒たちを大きく成長させたようだ。ある生徒は「ここ韓国で体験したことのすべてが私にとって驚きであり、感動でした」と「国際体験学習」を振り返っている。また、「今回の体験学習で自国の歴史を重んじる心を忘れず、けれど異国の歴史も重んじる姿勢も忘れないということが大切だと学びました」と感想を記した生徒もいた。
細田早苗校長は「韓国への修学旅行は外から日本をながめるという教育効果がある。気取らず、叫ばず、おつきあいしていくことで韓国への偏見が薄らぎ、お互いの理解につながっている」と話している。韓国への修学旅行はこれからも継続していく考えだ。
(2006.5.10 民団新聞)