掲載日 : [2006-07-05] 照会数 : 8083
<投稿>民団中央騒動を憂う 兵庫・弘利
5月17日に民団、総連の両代表が会って、在日同胞として永年の対立の歴史に終止符を打つ和解調印がなされた。南北で首脳会談が行われたと同様に、我々在日にとっても大変喜ばしい出来事であり、未来志向にたった英断であったとも思った。
しかし、その後、6月15日の光州での記念式典の合同参加が見送られ、南北間交流のごたごた、そして拉致問題、脱北者支援問題等双方の路線の違いが、改めて取りだたされて、日を追うごとに民団内部から、急激な北への接近を危惧する意見が持ち上がり、中央執行部の責任追及に今発展している。
既に民団、総連の交流は、金大中前大統領が北を訪問した時から、活発になり、地方自治体への、権益交渉などにも合同で行うなど、地方本部、支部単位での様々な共同事業は、これまでにも多く行われている。
特に、兵庫県の東神戸の両支部にあっては、ここ6年間、継続し野遊会、敬老会等合同で行事を行ってきた。回を重ねるごとに参加者もふくらみ、今では何ら違和感のない恒例化した行事ともなっている。
本来、同じ地域に住む同胞が一堂に会して交流することを特別視していた事がむしろ不自然であったことに、双方、失われた時間を後悔する。といって、統一へと向かう行為などと、大それた思いなどはなく、同胞としてごく当たり前の行為が永年、本国の政治に翻弄されて出来なかった。
イデオロギー論争はさておき、最低限出会うことすら出来なかった、我々の過去の歴史で消耗戦を行った結果、何を得たかという事である。時代は既に3世、4世の時代に入って、民族意識などという事すら理解できない世代が増え、帰化していく在日が年間1万人ともいわれる。
ましてや、在日同胞が南北に分かれ、対立しているなど、今の世代に理解させることはさらに困難であり、民族離れをさらに助長することとなる。このたびの和解調印は、ある意味で画期的とも思えるが、再度の確認を行ったにすぎず、むしろ、遅すぎた感も否めない。ところが、永年の対立の歴史に染まってきた体質から、アレルギー反応か、単なる交流事業の合意が、政治的、南北の安保問題にまで不安が波及しだし、このたびの騒動に発展したようだ。
その原因の中には、中央団長選挙のしこりもあり、この和解調印の進め方に対し、異議を唱える機会を、反体制派に与えたような印象もあり、さらに問題を複雑にしているようだ。こうして問題を複雑化させて結果誰のためになるかを思えば、今冷静に見据えることが、必要かと思う。
こうして躍起になっている間に、3世、4世の民団離れが加速することを考えれば、今民団がどう動くのか、個々の主張はひとまずしまって、未来志向の見地でこの問題を収拾する知恵を結集する方向に力をむけてはどうか。後世に笑われぬためにも。
(2006.7.5 民団新聞)