05年度決算、預金が前年比3・59%増
在日韓国人信用組合協会(洪采植会長)傘下9組合(3月末現在)の通常総代会が6月28日までに終わった。全体の3月末決算業績(05年度)は、預金が前年比3・59%増の5720億円、貸出金が同4・45%増の4254億円と、いずれも業績を伸ばした。預貸率は74・36%。自己資本比率も平均6〜7%台を維持し、健全経営をうかがわせた。出資配当を実施したのは5組合。
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【あすか信用組合】 好調な営業 今年も配当
あすか信用組合(本店・東京都)は6月28日、新宿の本店で第40期通常総代会を開いた。総代116人中102人(委任状54)が出席。
05年度決算業績は、預金1558億4747万円(前年同期比7・1%増)、貸出金1089億5448万円(同4・3%増)で、預貸率は69・91%。自己資本比率は7・31%で、出資配当金は1%。
李永植理事長は「05年度業績は、優遇金利定期預金『あすか』『あおば』の好調もあって預金が順調な推移を見せ、前期比103億円増加した。積極的な融資活動により貸出金も増えたが、個別引当金を5億円ほど積み増ししたのをはじめ資産内容の健全化を図ったため出資配当は1%にとどまった。不良債権の大幅な改善など安定した財務内容になっており、より強固な経営基盤の確立を目指したい」と語った。
また特別利益として、BCCI債権に対する返還金7億2331万円(第5次分)を計上したと報告された。
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【信用組合広島商銀】 預金113億円増で3%配当
信用組合広島商銀(本店・広島市)は6月23日、本店で第45期通常総代会を開いた。総代137人中136人(委任状64)が出席。
05年度決算業績は、預金1233億3823万円(前年同期比10・13%増)、貸出金984億6909万円(同9・66%増)で、預貸率79・84%。自己資本比率は6・06%で、出資配当は3%。
鄭義夫理事長は「各年齢層のニーズにあった独自商品の販売に努めた結果、預金は前期比113億円の大幅増加となった。貸出金も創業支援・再生支援の推進により前期比で86億円増えた。業務純益が8億1400万円を計上したものの、不良債権処理を進めたため純利益は1億1900万円にとどまった」と説明した。
今年度は「スモールエクセレントバンク」の確立を目指した第3次中期経営計画の中間年度として、相互扶助の精神を基本におきながら、資産内容およびリスク管理体制の改善強化を図っていく方針。
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【横浜商銀信用組合】 7年ぶりの経常黒字達成
横浜商銀信用組合(本店・横浜市)は6月28日、同本店で第45期通常総代会を開いた。総代128人中117人(委任状48)が出席。
05年度決算業績は預金1027億4905万円(前年同期比8・43%減)、貸出金694億4264万円(同4・28%減)で預貸率は67・58%。経常利益は7期ぶりに9285万円を達成したが、多額の繰り越し欠損金を抱えていることが響き、1億2538万円の純損失となった。
組合員の一部からはこの5、6年配当がないことに不満の声も。ただし、経営の足かせとなった不良債権がこの10年間で約200億円を処理しており、「峠を越えた」とみられている。健全経営性の指標である自己資本比率は4・46%と日本国内基準を上回っているのも今後の明るい材料だ。
洪采植理事長は「赤字幅は減少したが、経営環境の厳しさは続く。組合員のニーズに合った商品を開発しながら収益力の強化に努めていきたい」と抱負を述べた。
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【信用組合愛知商銀】 預金・貸出金ともに微増
信用組合愛知商銀(本店・名古屋市)は6月27日、本店で第53期通常総代会を開いた。総代127人中122人(委任状74)が出席。
05年度決算業績は、預金649億3900万円(前年同期比0・43%増)、貸出金522億8300万円(同0・75%増)で、預貸率は80・51%。自己資本比率は5・81%であった。
権東鉉理事長は「コア業務純益は前年度比1300万円増加し自己資本比率も0・37%増の5・81%にまで上昇した。しかし、法定準備金・積立金等を取り崩していたため配当は不可能となった点、組合員の皆さまに申し訳なく思う」と述べた上で「今後、地域密着型金融機関として相互扶助精神のもと、機能強化を推進しながらより一層の経営合理化に努め収益力の向上を図り、さらなる経営の健全化に努めていく」と強調した。
今後もコンプライアンス体制のもと、適正利益の確保に向けて経営の健全化をいっそう推進していく方針。
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【九州幸銀信用組合】 合併から4年 運営順調に
九州幸銀信用組合(本店・熊本市)は6月28日、福岡市内の九州幸銀ビルで第50期通常総代会を開いた。総代128人中109人(委任状62)が出席。
05年度決算業績は、預金388億6833万円(前年同期比6・94%増)、貸出金324億7045万円(同17・41%増)で、預貸率83・54%。自己資本比率は6・20%で、配当0・5%を実施。
金泰 理事長は「九州幸銀として再出発してから足かけ4年となり、営業エリアは4県にまたがっている。ようやく体制を整え、収益をあげられるようになってきた。預金、貸出金ともに順調で純利益1億8500万円を計上することができた。創立50周年を迎える今期は、地域の金融機関として愛されることをモットーにこの厳しい状況を勝ち抜いていきたい」と述べた。
昨年12月19日、佐賀商銀信用組合と合併したことにより、福岡・熊本・大分・佐賀の4県に9店舗を有することになった。
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【あすなろ信用組合】 合併後、初の黒字に
あすなろ信用組合(本店・松本市)は6月28日、長野市内のホテルで第31期通常総代会を開いた。総代169人中141人(委任状94)が出席した。
05年度決算業績は、預金358億7844万円(前年同期比7・08%増)、貸出金284億5373万円(同6・17%増)であった。預貸率は79・31%で、自己資本比率が5・39%だった。
尹昌旭理事長は「総代皆さまのご支援のおかげであすなろ信組に合併してから5期目にして純利益3900万円と初めて黒字を出すことができた。今回、銀行法の改正による新・代理店制度の創設により、営業エリアである長野、群馬、栃木、新潟、山梨の5県にわたる販売チャンネルの多様化が可能になった。将来における事業拡大のチャンスにしたい」と抱負を語った。
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【北陸商銀信用組合】 昨年に続き配当3%
北陸商銀信用組合(本店・福井市)は6月23日、市内のホテルで第41期通常総代会を開いた。総代125人中114人(委任状48)が出席した。
05年度決算業績は、預金246億2186万円(前年同期比4・99%増)、貸出金174億1450万円(同0・85%減)で、預貸率70・73%。自己資本比率は8・79%と高く安定している。出資配当は3%。
姜栄文理事長は「地域密着型の経営強化を図りながら新商品の懸賞金付定期預金・積金を取り扱い、目標を高く掲げるなど積極的な営業を進めてきた。その結果、業務利益は5億2100万円を計上することができた。しかし、不良債権処理にともなう貸倒引当金の増加で9400万円の赤字を余儀なくされたが、配当は昨年と同じように実施することができた」と説明した。
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【信用組合岡山商銀】 8%台の自己資本率
信用組合岡山商銀(本店・岡山市)は6月23日、本店で第44期通常総代会を開き、李根善理事長を再選した。総代104人中88人(委任状35)が出席。
05年度決算業績は、預金183億1362万円(前年同期比4・12%増)、貸出金119億5969万円(同6・2%減)で、預貸率65・31%。自己資本比率8・68%で、配当2%。
李理事長は「預金キャンペーンにより20億円を超す新規獲得を達成するなど順調な伸びを見せた。貸出金の減少は不良債権処理を進めた結果である。業務利益は前期並だったが、貸出金償却を進めることができた。自己資本比率は昨年に比べてさらに改善された」と堅実経営を強調した。
なお、理事の定数を「15〜23人」を「10〜18人」に減らす定款変更を行い、新理事17人(5人減)を選任した。
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【長崎商銀信用組合】 合併前、最後の総代会
長崎商銀信用組合(本店・長崎市)は6月1日、長崎市内のホテルで最後となる第43期通常総代会を開いた。
05年度決算業績は、預金75億1650万円(前年同期比7・74%増)、貸出金59億6085万円(同55・72%減)で、預貸率79・3%。
趙鶴来理事長は「1963年に営業を開始してから40数年、地域同胞の協力を得ながら民族金融機関としての役割を果たしてきたが、合併することになり今回が最後の総代会となった。合併に際しては韓信協を通じて本国政府支援金から3億円を支援していただいた点、感謝している」と謝辞を述べた。
6月12日に近畿産業信用組合と合併し、本店は長崎支店として営業を始めた。
横浜商銀信用組合
信用組合愛知商銀
九州幸銀信用組合
あすなろ信用組合
北陸商銀信用組合
信用組合岡山商銀
長崎商銀信用組合
(2006.7.5 民団新聞)