掲載日 : [2006-08-15] 照会数 : 7242
「遺骨は物ではない」日本政府の返還姿勢に危惧
[ 追悼会で祭祀を行う民団中央本部の夫昇培副団長 ]
「遺骨は物ではない」日本政府の返還姿勢に危惧 韓国人遺族
「韓国・朝鮮の遺族とともに‐遺骨問題の解決へ06年夏」全国交流集会が各地で開かれている。集会に先立って実行委員会は曹洞宗宗務庁の協力を得て7月28日、東京・港区の壇信徒会館で追悼会を行った。
祭壇には東京・目黒区の祐天寺に安置されている浮島丸犠牲者の遺骨と北海道朱鞠内ダム建設中に無念の死を遂げた10人の位牌を祭った。有田惠宗宗務総長による読経の後、韓国から招かれた遺族8人を代表して全承烈さん(浮島丸遺族会代表)がおごそかに祭祀を行った。民団中央本部から夫昇培副団長、総連中央本部からは高徳羽副議長が加わった。この後、出席者全員で焼香した。
交流集会で実行委は、遺骨の返還にあたっては日本政府から遺族への経過説明および謝罪、渡航費と葬祭料の全額支払いなどを求めてきた。遺族も同様の思いだ。だが、日本政府は人道的観点を強調しつつ「『死亡者の状況』まで把握することは考えていない」「関係企業の謝罪については答える立場にない」とし、遺族の不安を募らせた。
■□
遺骨返還を要請 名古屋市に遺族
名古屋市天白区にある納骨堂「東山霊安殿」でも7月31日、権寧穆さんの遺族、五建さん(49)が念願だった祭祀を行い故人の冥福を祈った。
祭祀に先だって五建さんは愛知県の民団本部や総連本部のメンバーらとともに名古屋市役所を訪れ、寧穆さんの遺骨を速やかに返還するよう求めた。これに対して市は生前や死亡時の状況、無縁仏として保管されることになった経緯について調べることを約束した。
東山霊安殿を管理している市社会福祉協議会では99年に韓半島出身者の遺骨77人分を粉砕処理したが、権さんの遺骨は粉砕を免れていた。
五建さんは「日本でたった1人亡くなった父を思うと、胸が痛い。一日も早く大邱の故郷に連れて帰りたい」と話した。
愛知集会は7月30日、名古屋市東区のウィルあいちで開かれた。
(2006.8.15 民団新聞)