掲載日 : [2006-08-15] 照会数 : 9028
美の追求で輝く在日同胞の女性たち 洪敬玉さん
洪敬玉さん(50)
JFサクセス ジュエリーコーディネーター
個性に似合う宝石選び
少し無理をして買った宝石なら、なおさら嬉しくて何度も眺めたり、付けたり外したりしないだろうか。ワクワク高揚する気持ち。女性だったら分かるに違いない。
今年1月、東京・神楽坂にオープンした宝石店の「JFサクセス」。店内には洪さんが選別したさまざまな色の真珠や、ダイヤモンド、色石のネックレスやリングなどが陳列されている。洪さんが提唱するのは、「オンリーワンをあなたに」だ。「お客さまに本当に似合う一つの宝石を渡したい」。本質を知り尽くした洪さんだからこそ、「一生使っていけるもの」にこだわる。
ジュエリーコーディネーターは、宝石に関する高度な知識と、TPOに合わせたコーディネートを消費者にアドバイスする仕事。洪さんはそれ以外にも宝石素材の現地調達やデザイン企画なども手がける。
ニューヨーク市立大学校経済学学士課程修了後、教授の推薦を受けて東京の外資系真珠輸出会社アミットトレーディングに入社。真珠とは関係のない経理を担当していたが、次第に真珠と関わっていくことになる。それまで「宝石には全く興味はなかった」というが、真珠の魅力にはまっていった。
「いずれは会社を興したい」と思っていた時期。素材を真珠に絞った。当時、資金を貯めるために自宅で始めたのが英語塾。退社後急いで自宅に戻り、6時から9時半まで毎日3クラスをこなす生活を2年間続けた。
98年、自宅を本拠に真珠専門店として活動を始めたが、右も左も分からず購入してくれそうな場所を探しては、鞄を持って全国を回った。「本当に狩人のようだった。買う人はどこにいるんだろうかと探して、なかったらお腹を空かして。安定していなかった」。商品は全て買い取りだったが、真珠を見極められるようになるまで1年間かかった。「最初は何も分からず原価で売ったこともある」。失敗の連続だったが、経験から得たものは多かった。
4年が経つころには品物が美しいという評判を得るまでになった。ダイヤモンドを扱い出したのもこのころ。店を構えるまでの7年間は、鞄を持って営業を続けた。
「宝石って本当にいいですよ」。ライフスタイルのなかに一つの宝石が入ることによって心が豊かになり、おしゃれも変わるからだ。だからこそ「少しお財布は痛いけど、買った後にどきどきするものが大事」。ただし客が高価なものを選んでも、似合わなければ決して勧めない。
これまで数え切れない人たちと出会ってきた。思い出に残っているのは、40万円台の宝石をローン払いで購入した、お好み焼き店を経営していた女性だ。「毎日、仕事をするときにお参りして、今日も頑張って働いていると言われた。心意気が素晴らしいと思った。一生懸命働いて貯めたお金で買う人には、自分もいいものを渡したいと思っている」
「若い人にもチャレンジしてほしい。宝石は高い、どうせ買えないと思っている人はぜひ、うちの店に来て話を聞いていただきたい」
宝石のなかで、白い真珠が綺麗だという。「白は年を重ねていくほど似合う。白は上級編です」と教えてくれた。オープンから半年が経ち、手応えを感じている。「宝石を見てて楽しいと言ってくれるお客さまがいる。嬉しいです」。多くの女性たちにその気持ちを届けるために頑張っている。
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営業時間11時半〜19時半。毎週日・月曜日定休。東京都新宿区津久戸町1‐14サンハイツ飯田橋1階103(℡03・5225・2206)。
(2006.8.15 民団新聞)