掲載日 : [2006-08-15] 照会数 : 8398
<第61周年光復節>河丙中央団長 慶祝辞
創団60周年民団再生の契機に
「韓日未来月間」(8月)スタート 次世代交流が活発化
親愛なる同胞のみなさん!
光復61周年を迎え、在日同胞のみなさんとともに祖国解放の歓びをかみしめながら、今日の祖国発展の礎となられた愛国先烈に対して、改めて敬意と感謝の気持ちを表する次第です。
日本帝国主義の36年にわたる暗黒の植民地支配から解き放たれ、わが民族に光を復活させた光復節は、二度と不幸な歴史を繰り返さない固い決意を内外に鮮明にする記念日であります。また、日本で生きる私たち在日同胞にとっては、分裂した民族の和合と分断祖国の統一を念願する日でもあります。
親愛なる同胞のみなさん!
去る5月17日、私は半世紀にわたり対立していた朝鮮総連との和合を果たすべく、総連中央本部代表との会談を実現、和解への第一歩をしるしました。
ところが、懸念されていた北韓のミサイル発射が現実のものになった段階で、「在日同胞社会の民族的団結のために互いに力をあわせて協力していく」と謳った「5・17共同声明」の約束事項は実現不可能となり、声明自体を白紙撤回せざるをえなくなりました。
ミサイル発射は朝日平壌宣言に明白に違反する行為であり、世界平和に対する重大な挑戦であることは言うまでもありません。私たち民団は、地域の平和と安全を守る立場から6月24日の臨時中央委員会でミサイル発射中止を強く求める決議文を採択し、総連中央本部に伝達しました。
それにもかかわらず、総連は韓日両国民を大きな不安に陥れ、国際社会を震撼させた北韓の蛮行を「自衛的措置として行われた正常な軍事訓練」と強弁する挙に出ました。北韓のお先棒を担ぐだけの総連は、在日社会から完全に孤立し、組織衰退の一途をたどるほかありません。
日本に居住しながらも祖国の平和と安定を願う民団は、これからも韓半島の非核化と恒久平和体制の構築に積極寄与すると同時に、総連同胞を含む在日同胞の生活を守る立場から北韓当局に対してミサイルと核開発の即時停止を強く求めるものです。
また、拉致被害者と在日出身の脱北者の人権を守る観点から、拉致問題の早期解決と脱北者支援の継続を改めて表明する次第です。
同様に、総連も在日同胞の生命と財産を守る立場から、エスカレートしていく軍事的挑発や拉致、麻薬、偽札づくりに手を染める北韓の国家犯罪に対して断固抗議し、再発防止のために民団とともに立ち上がるよう求めるものです。
親愛なる同胞のみなさん!
韓日両国は国交正常化40周年を迎えた昨年を、「韓日・日韓友情年」に定め、官民あげて友好親善に注力しました。
しかし、独島の領有権や歪曲歴史教科書、小泉首相の靖国神社参拝などが争点化して関係が冷え込み、現在も首脳会談開催のメドすら立たないという深刻な状況下にあります。本来、一衣帯水と言われるほど近い両国の関係正常化は、政治家の英知にゆだねるしかありませんが、いかに関係がギクシャクしても決して揺らぐことのない民間交流を維持・発展させていくことは、民団に与えられた使命でもあります。
再飛躍に向け 原点に返ろう
韓日の架け橋を自負し、韓日善隣外交の一翼を担ってきた民団は、これからの韓日関係をリードしていく韓・日・在日のオリニ・青少年を対象に、今年から毎年8月を「韓日未来月間」に設定しました。
メーン行事は2年ぶりの開催となったオリニソウルジャンボリーです。8月6日に始まった今年のジャンボリーは、募集人数を大幅に超える400余人のオリニがソウルに集まり、地元のオリニたちと楽しい時間を過ごしながら、それぞれがルーツを自覚し、民族のプリを体感しました。子育てのさなかにある親同士の交流も活発に行われ、生きた民族教育を実践することができました。
そのほか、高校生や大学生を対象にした夏季プログラムも順次開催され、韓・日をつなぐ在日の若い世代が、文化・芸術、スポーツ交流を通して、明るい韓日の未来を創造していくことでしょう。「韓日未来月間」事業に対して、物心両面にわたるご支援をいただいた関係各位にこの場をお借りして厚くお礼を申し上げる次第です。
親愛なる同胞のみなさん!
今年は創団60周年を迎える節目の年です。在日同胞の生活者団体として草創期から同胞の権益擁護や韓日親善に全力を傾けてきた民団は、1世から日本生まれの2、3世へと世代を超え、諸事業を継承しながら、日本社会をはじめ本国や海外同胞からも「在日に民団あり」と認知されるほど、日々発展を遂げてきました。
しかし、その一方で民団を取り巻く環境は劇的な変化を遂げています。80年代半ばから始まった同胞人口の減少が組織の発展と新陳代謝にブレーキをかけ、1世から2世への最後の世代交代期にある現在の同胞社会は、民団にとって組織の再生と存亡の分水嶺にあると言っても過言ではありません。
旧態依然の発想法や運営方法では、組織を牽引することが困難になってきている現状を深刻に受け止め、在日同胞社会のさらなる飛躍のために、私たちはもう一度団員宅の戸別訪問をはじめとした組織運動の原点に立ち返り、民団を永続的に繁栄させていくために立ち上がらなくてはなりません。
親愛なる同胞のみなさん!
私たちには地方参政権獲得運動など推進すべき課題・懸案が山積しています。組織活動の停滞は許されません。昨年6月に定住外国人の地方選挙権を立法化した韓国は、今年5月の地方選挙から永住外国人が投票権を行使しています。アジア初の外国人選挙権の実現は、一部の保守派政治家のかたくなな抵抗にあって、停滞を余儀なくされてきた私たちの運動にも大きな弾みとなることでしょう。
私たちは今後とも共生社会実現の担保となる地方参政権の早期獲得に全力を尽くすと同時に、団員が心を一つにして、創団60周年記念事業を大成功に収め、その力をもって民団再生の大きな起爆剤にしたいと思います。
すべての在日同胞の幸福追求と民団の限りない発展、そして韓日友好親善と祖国の平和統一に向けて全力を尽くすことを誓いながら光復節の慶祝辞といたします。
(2006.8.15 民団新聞)