掲載日 : [2006-08-22] 照会数 : 6787
第61周年光復節 盧武鉉大統領慶祝辞…全文
[ 光復節61周年記念式典であいさつする盧武鉉大統領=15日、ソウル ]
東北アジアに新統合の秩序を構築しよう
列強の覇権主義を阻止し 平和・繁栄の共同体を
尊敬する国民の皆様 そして海外同胞の皆様
61年前の今日、我々は奪われた国を再び取りもどしました。その感激と喜びにすべての同胞が抱きしめあいました。そして、堂々たる自主独立国家を建設することを誓いました。
祖国光復のその日まで、すべてをささげ、献身してこられた愛国先烈たちの高いこころざしを称え、独立有功者と遺家族の皆様に尊敬と感謝を申し上げます。
苦難と克服の歴史忘れまい
去る1世紀、我々の歴史は苦難と克服の歴史でした。国を失った漆黒のような絶望の中からも、我々の先人たちは抗日独立闘争を止めませんでした。我々国民は戦争の廃墟から国家経済を世界10位圏の強国に作り上げました。独裁体制を打ち倒し、自由と活力にあふれる民主主義の時代を切り開いています。さらに歴史の真実を明らかにし、民族史の正統性を打ち立て、国の自主的位相も新たに打ち立てつつあります。
今日の大韓民国を作り上げてこられた国民の皆様に深い感謝の言葉を申し上げます。
国民の皆さん
このような挑戦と成就の歴史はこれからも継続されるでしょう。
我々の経済は民生問題が構造的な困難として残っています。透明かつ公正な市場で技術革新と人材養成を通して、持続的な成長を続けていくことでしょう。世界頂上の製造業を後押しし、21世紀知識情報化時代を引っ張っていく先端科学技術力量も一層強化されています。首都圏と地方が共に成長する均衡発展の土台も準備されています。
権威主義は解体され、国民が真正な主人待遇を受ける時代に入りました。我々の子女たちは自律と創意を花咲かせながら、科学と芸術、体育などすべての分野において世界の若者たちと堂々と肩を並べています。今大韓民国と韓国人の力は世界に伸びています。
しかし、未来に希望だけがあるのではありません。我々の歴史において当然に成し遂げていなければならないことで成し遂げていないこともあります。
何よりも分断を克服することが未完の宿題として残っています。南北関係の進展にも拘らず、時として緊張と対立がつくられており、統一に向かう道にはいまだ多くの難関が立ちふさがっております。
未完の宿題は南北分断解消
東北アジアの対決的秩序も、未来も、我々の未来を心安らかにできない要因であります。植民地支配の時代は終わりましたが、根深い葛藤要因が依然残っており、冷戦時代は終わりましたが、葛藤と対決構図は完全には解消されていません。あたかも地震盤の構造のような地域的不安定が、我々の挑戦し解決しなければならない課題として我々の前に横たわっております。
我々内部に残っている分裂的歴史の残滓も、歴史発展の足首をつかむ障害要因の一つです。植民支配と左右の理念対決、そして独裁時代を経ながら積み重ねられた葛藤と対立の情緒が今も国民統合を困難にしています。 国民の皆様
我々民族の安全と平和、そして未来の繁栄のためには一方では状況を注意深く管理しながら、一方ではこのような挑戦要因を一つひとつ克服していかなければなりません。
何よりも分断状況を賢く管理していかなければなりません。敵対的感情を刺激して、信頼が壊れることのないようにしなければなりません。南北関係において人権も重要であり、国民の自尊心も重要であります。しかし、その何よりも重要なことは韓半島の平和と安定に最優先をおき、どんな状況でも耐えられる水準で管理していかなければなりません。
確実な抑止力をもって、徹底して対備すると同時に、寛容と忍耐で北韓を説得して改革・開放の道に導かなければなりません。開城公団をはじめとする経済協力事業を、南北が共に平和と繁栄の道に進む堅固な橋として作らなければなりません。
心の中に残っている憤怒と憎悪の感情も今や乗り越えなければなりません。過去に北韓が犯した戦争と拉致などで苦痛を受けた人々を考えれば、北韓に対して寛容と和解の手を差し伸べるということは、決してやさしいことではありません。しかし我々と我々の子孫たちの平和的で繁栄した暮らしの為には、寛大な心と長期的な視野で過ぎた日を容赦し、和解と協力の道を共に進んでいかなければなりません。
北韓は条件なしに6者協議に復帰すべきであります。我々は北韓が核を放棄し、同時に米国を含む主要国と関係を改善して、平和と共同繁栄の道に進むことができるよう積極的な努力と支援を惜しみません。
急ぐべき北の6者協議復帰
6者協議の当事国は会談の再開と進展のため、多様な形態の対話を試みなければなりません。昨年6者協議においてなされた9・19合意には北韓核問題解決だけではなく、東アジアの新しい秩序を作っていくことのできる出発点が提示されています。
6者協議が成功すれば、米国は東北アジアを平和と繁栄の共同体に作るのに主導的な寄与をするようになるでしょう。さらにこれはこの地域に民主主義と市場経済、そして人権の価値を繰り上げて実現する結果をもたらすでしょう。
尊敬する国民の皆さん
我々の運命を遠く見通すとき、もう一つの不安要因である東北アジアの潜在的な対決構造にも積極対処していかなければなりません。
まず、東北アジア地域に新しい統合の秩序を構築していかなければなりません。お互いに、陣営を分けて、陣営をまとめて相手方を不信し、牽制する姿勢では対決の構造を解消することは困難であります。この地域に利害関係のある国家すべてが対立と葛藤ではなく、平和と共存の秩序を作るために心を合わせなければなりません。
その中でも、我々の役割は大変重要であります。我々がどのような態度を取るかによって、他の国々の態度が変わることがあります。我々がまず中心にならなければなりません。その間我々の歴史は強大国の意思により決定された場合が多くありました。ですから、我々は長い間我々の運命を決定することに強大国の意図をまずうかがわざるを得ませんでした。
しかし、今や変わらなければなりません。我々の国力や周辺国家の関係が以前とは変わりました。我々が追求する目標を国際社会の現実と調和させていくが、韓国人の立場から考えて決断しなければなりません。強大国が東北アジアの未来を話すとき、韓国人の運命に対する自律権を尊重するよう、我々が積極的に説得していかなければなりません。
2番目に地域平和と協力秩序を脅かす覇権主義を警戒しなければなりません。過去東北アジアの平和を壊したのは列強の覇権主義であったし、その時々に韓半島は戦争の渦に巻き込まれざるを得ませんでした。そして国民は苦痛を受けました。露・日戦争、清・日戦争もその名称とは違い、列強がわが国土で繰り広げた侵略戦争でありました。不幸にも東アジアには今も過去の不安な気運がうごめいています。
日本の憲法改正論議を憂慮するのも正にこのためであります。第2次大戦が終わり、長い歳月が流れました。平和憲法改定自体をもって是非を論ずるのは過ぎたことだと言えるかもしれません。しかし日本は憲法を改定する前にまずしなければならないことがあります。
実質的措置をすべきの日本
過去に対して、真心から反省して、何回かの謝罪を裏付ける実践をもって、再び過去と同じようなことを反復する意思がないことをはっきりと証明しなければなりません。独島、歴史教科書、靖国神社参拝、そして日本軍慰安婦問題の解決のための実質的な措置がそれであります。ドイツがオーデル‐ナイセ国境線を認定したことと、最近フランス、ポーランドなどの隣国と協議して、共同で歴史教科書を発刊した事例は良いお手本になるでしょう。
3番目に、わが国は我々が守るという確固たる意志と、そうすることができる力を備えなければなりません。このために参与政府は国防改革を推進し、我々の自主国防力量を強化しております。駐韓米軍再配置を含む韓米安保協力関係も未来志向的に発展させようとしております。
戦時作戦統制権返還は国の主権を正しく打ち立てることであります。国軍統帥権に関する憲法精神にもあわない非正常的な状態を正すことであります。さらに変貌したわが軍の位相に相応しいことであります。去る20年の間準備し、米国と緊密に協議しながら体系的に推進してきたことであります。確固たる韓米同盟の土台の上に進行しており、米国も積極的に協力しております。私はわが軍の力量を信頼しています。
国防力は総体的な国力の大きさに比例します。製造業と先端技術力を一層発展させ、教育と社会投資を通じて持続可能な成長基盤を構築していかなければなりません。サービス産業育成と先進通商国家戦略を積極推進し、先進国の入り口を飛び越えなければなりません。
開放は我々の生存戦略であります。今まで、大韓民国は高い教育熱と挑戦精神、そして開放を通じて成功してきました。過去開放の都度多くの反対と憂慮がありました。しかしそれはむしろ常に我々には新しい機会であることが証明されました。
米国とのFTAはもう一つの挑戦であります。挑戦は常に不安なものですが、挑戦しないではさらにより良き未来を切り開いていくことはできません。先進国に突き進むためには、経済の実質水準を一段階さらに高めなければなりません。
米国は世界最大の市場であり、最高の市場であります。その間は日本の成長モデルを追いかけてきましたが、今は中国の追撃を振り払い、日本を超える新しい成功モデルを作っていかなければなりません。そうしようとするならば、米国市場において、特にサービス産業において米国と競争して成功をもたらさなければなりません。私は我々国民の力量を信じています。わが国民は絶え間なく神話を創造してきた国民であります。
国民の皆様
このすべてのことのためには、国民の意見を一つにまとめなければなりません。個人の考えはそれぞれ違うことがありますが、国民の意思は一つに統合されなければなりません。
我々はいつも団結と統合を話してきましたが、実際には自分の主張に従えと要求するだけで、他人の言葉を受け入れたり、妥協しようとしませんでした。これにとどまらず、意見が違うとお互いに排斥し、さらには殺生にまで及ぶ時代がありました。その時代、対話と妥協の話をする人はいる場所を失うしかありませんでした。今やそのような時代は過去になりましたが、我々の政治と社会にはまだまだ対話と妥協を拒否する極端主義が残っています。極端主義は国民統合を不可能にします。
国民の意思を一つに集める唯一の方法は、民主主義を正しく実践することです。民主主義の原理の核心は相対主義と寛容であります。そして規則を尊重することであります。対話と妥協を通じて合意を形成し、しまいに合意をなすことができない場合でも規則に従い結論を出し、そして結果に承服することであります。
過ぎた歴史を振り返れば、異端を容認しない極端主義の非妥協路線が国を分裂させ、それが不幸な歴史を生み出してきました。これからも統合の路線が現実の力として国を導き、歴史の正統になるよう作っていかなければなりません。
解放後、政府樹立過程において、一つの国をつくろうとした統合主義路線は挫折してしまいました。しかし挫折したといっても、このような路線の歴史的な価値まで損傷してはいけません。わが民族の自主的力量を悟らせ、分裂を防ごうとした努力は再度評価されなければならないでしょう。 あわせて、我々は過ぎし日の分裂と対決の歴史が残した傷跡を治癒し、国と国民が一つに統合された新しい未来を作るために格別な努力をしなければなりません。過去対決と反目の歴史から始まる感情のしこりは、今や洗い流さなければなりません。民主主義と人権という最小限の価値を認定し、これを侵害する行為に対しては心から反省し、謝罪しなければなりません。半面、過去歴史の過誤に始まる正統制是非や資格是非も、今や歴史の評価に任せましょう。そうして真正な容赦と和解をなして未来に向かって共に進みましょう。
国民の統合で再跳躍しよう
尊敬する国民の皆様
大韓民国は第2次大戦以後、独立した国の中では民主主義と市場経済をすべて成功させた唯一の国です。我々が成し遂げたことは全世界の開発途上国に模範となっています。
いまや、より大きな跳躍をなすべき時です。すべての国民が平和で安定した土台の上で活力のある生活を享受し、あらゆる青少年に明日のための機会が公正に与えられる国、先進韓国が我々の夢です。
韓米FTAは経済先進国に向けた新しい挑戦であります。両極化解消と同伴成長は福祉韓国に向けたビジョンであります。自主国防は韓半島の平和と安定を自らの力でしっかりと押し固めようという意志と力量の象徴であります。
国民の力を一つに集め、絶え間なく革新して創造していくならば、参与政府が終わる2008年には国民所得2万㌦時代が開かれることでしょう。10年内に名実共に世界一流国家に跳躍することでしょう。
明るい未来が我々の前にあります。希望と自信感を持って、力強く進みましょう。今しなければならないことは後に延ばさず、責任をもってしていきましょう。私と我々の政府も最善をつくします。
(2006.8.22 民団新聞)